右カウンター赤道より (完)
作者さま:梧桐 彰
キーワード:ボクシング インドネシア 友情 人間ドラマ
あらすじ
インドネシアの首都ジャカルタで開店休業中のボクシングジムを経営する中年ボクサー、「ロニー」のところへ、日本で売り出し中のボクサー「薮田」から試合の依頼が飛び込んでくる。
とある事情からやけっぱちになって日本を飛び出しジムに居候していた「アキラ」は無理だろうと言うが、普段は弱気なロニーがなぜか出ると言ってきかない。
しょうがなく練習に付き合い始めると、わずかながらロニーにチャンスがあることがわかってきて……?
感想
作者さまに確かな知識があるのでしょう。ボクシング周りの描写が細かくリアル、そして試合シーンは迫力満点。まったくボクシングの知識がない私も楽しめました。格闘技ってのは男のロマン!
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男はガウンを脱ぐと軽い跳躍を始め、グラブを交互に突き出した。何人かがその体に目を奪われ始めた。動きは意外に敏捷で、発達した足腰には脂肪がついていない。そして、その両拳には力りきみのない、静かな闘志が行き渡っていた。
戦うためにここへ来たのだ。
老兵の目が、そう語っていた。
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これプロローグの文章なんですが、読んだ時に物語に引き込まれました。「お! これは本格派っぽいぞ……!」と一気に期待値が上がる。
また、人間ドラマとしても良質で熱い。不可能に見えたものが、実は希望があると分かる。つながる人の縁。疑いから信頼へ。集まってくる仲間。男の友情……
主人公が直接試合に出るロニーじゃなくて、サポート役に回るアキラなのが話に広がりと深みを出している気がします。
舞台が日本ではなくインドネシアなのも個性的。描写が巧みで異国の風を感じる。きっと作者さまに現地にいった経験があるんでしょうね。
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外に目をやった。道路はひしめくオートバイ。人口950万人。都市圏では東京に次いで世界第2位、3000万人だ。赤道直下を生きる無数の人、人、人。活気あふれる社会には貧困や治安の問題があっても悲壮感がない。これからの国なのだ。
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これからの国、表現では。明るい未来が見えていることを一言でサクッと表現。
10万字、本1冊ほどの長さで無駄がなく完成度が高い作品。最後にタイトルが回収されるシーンは読んだときに震えました。すばらしい演出です。
状態:完結
文字数:109,687文字
個人的高評価ポイント
◎ 高い完成度!
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