現代ドラマ:シリアス系

彼女が好きなものはホモであって僕ではない  (完)

作者さま:浅原ナオト

キーワード:同性愛 無理解 腐女子 恋愛 青春 ヘビーノベル 書籍化作品


あらすじ

同性愛者である高校生男子「安藤純」は、クラスメイトの三浦紗枝がBL本を買うところを目撃してしまう。そこから知り合いになり、さらには彼女から好意を持たれるようになるのだが……


感想

タイトルは軽いが、内容としては同性愛者の苦悩や日本社会の無理解などを真剣に書いており非常に重い。

同性愛者の方の心理・悩みの描写がとても細かく現実的。私自身、まだまだ無理解だっと気づかされました。

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世間体じゃない。世俗を気にしているわけじゃない。少なくとも僕は、僕と奥さんと子どもで築く平凡な家庭も、郊外の庭付き一戸建ても、孫たちに囲まれた幸せな老後も、全部欲しい。たくさんの家族に看取られて、「いい人生だった」なんて呟いて、眠るように息を引き取りたい。ただちんぽこが、ちんぽこがどうしても上手く勃ってくれない。


 本当に、ただそれだけの単純な話を、ほとんどの人は分かってくれていない。


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ゲイの人でも、自分の子供が欲しい。なんというか当たり前と言えば当たり前なんですが、私はこの文章を読むまで理解できていませんでした。

百合とかBL呼ばれるジャンルでは同性愛者同士のやり取りが基本。だから誤解も無く平和な世界。

しかし本作では、異性愛者に好意を持たれてしまう、というストーリー展開。そして同性愛者だけど子供と家庭が欲しいと願っている。リアリティがあり強烈に重い展開。


また、今まで書いてきたような社会的な意義だけでなく筆力と構成力があり小説として単純に面白い。テンポが良く展開にメリハリがあり、どんどん読み進めてしまう。

BL好きの腐女子を組み込んであるのが今どきのセンス。「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」、良いタイトルだと思います。キャッチーで興味が引かれるし、問題の大きさも上手く表現している。

勉強になるし小説としても完成度が高い。ぜひ読んでみるべき作品じゃないかと。

そして、この作品が「面白い」とか「珍しい」とか言われない社会にしていかないとダメですね。日本社会の中で自分が同性愛者であることが堂々と公言できないからこそ、この物語が成立してしまうわけで。



状態:完結

文字数:151,830文字


個人的高評価ポイント

◇ アイディアが良い!

◎ 高い完成度!


作品URL

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881880612

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