第14話「ゼーレ魂の座」
総集編回である。
そしてなんとこの回は、年始番組の関係で、朝8時半から放送されたのである。
という俺も何と見逃しており、14話を見たのはたぶん社会人になってからではないだろうか。
ということでまったく当時の記憶はないのである。
まあしかしエヴァはここから、趣を変えたといっても過言ではないであろう。
ここまでのヒロインは圧倒的に綾波である。
しかしこの回から、一気に綾波の非人間性というのがクローズアップされていく。中でも綾波が目を見開くシーンがあるのだが、あそこは多くの綾波ファンに、衝撃をたたきつけたに違いない。
全く庵野監督も意地悪なことをするものである。
今まではアスカを中心にこのエッセイでは語ってきたがようやく綾波に対して言及する時が来たようだ。
シンジ→オタクの象徴
アスカ→ギャルの象徴
に対してレイは何かといえば
実は、オタク女子の象徴だったりする。
正確に言えば少し違うが、オタク男子がまだ仲良くできるという異性の象徴なのである。
現にシンジ君はこの回までで、レイに対して親近感を持っているし、明らかにレイ好きなのである。オタク少年でも同類だったら仲良くなれるかもしれないという、その可能性を示す存在がレイなのだ。
ところが庵野監督はここでレイが実はそんな優しいもんじゃないということを見せつける。レイが恐怖の対象でしかないかもしれないという演出をするのだ。
レイが目を見開くシーンはなかなかショッキングだ、これまでレイファンだった少年を叩き落すに十分である。
そしてこの回から庵野監督は、心理描写を多用していく。
今まではかっこいいエヴァンゲリオンだったのだが、やたらと説教臭くなっていくのはこの回からだと思う。
その辺の事情には、作画が追いついていないゆえの苦肉の策だったのかもしれないが、一気にエヴァンゲリオンはショーペンハウアー感が出てくるのだった。
※ショーペンハウアーとは、ドイツの哲学者で、読むと自殺したくなるといううことで有名だ。当初から、ガンダムはニーチェ、エヴァはショーペンハウアーと言われていた。
ここまでは、かっこいいロボットアクションアニメであったエヴァがこの回をもって卒業していく。実際はこの回を見逃した人の方が多いので、それを理解するのはおそらく16話「死に至る病」からだと思うのだが、実は片りんを見せたのはこの回だった。
果たしてゼーレの言う人類補完計画とはなんなのか。その答え合わせがこの回以降に進んでいく。
すまん、嘘を言った。
実は人追補完計画とか、アダムといった単語はすべてミスリードだったりする。実はそんなものに答えはない。そこを追っていくと、完全にエヴァンゲリオンという作品を見失ってしまう。
あたかも東野圭吾原作の容疑者Xの献身のようである。
いかにも、あやしそうなところは全く関係ないのである。
エヴァアニメ版の本筋はシンジ君と周囲の人間関係にある。
それ以外の要素はすべて修飾に過ぎない。
しかし、この第14話あたりからみんなが謎解きをはじめ、多くの謎解き本が出版されたし、いまだにその系譜はつづいている。
しかし騙されてはいけない、そこに答えはない。いや、答えはおそらく庵野監督ですら知らないはずだ。なんとなく謎めいた雰囲気を出すことによって、みんなを引き付ける手法であるのだ。
あたかも大人の女性のようである。
秘密が女を女にする。
ちなみに今日も酔いながらこの記事を書いています。
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