第13話「使徒、侵入」

 被害妄想やないか!とか責任転嫁、バブル世代への嫉妬と言われたらその通りだが、しかしそんなものをどうにもすることができないくらい世代間格差は存在する。そしてこのエッセイはエヴァ世代に対するアジテーションなので大げさでいい。


 さて使徒侵入である。俺の中では前回の12話までがエンターテイメントとしての新世紀エヴァンゲリオンであって、13話以降は脱エンターテイメントかつ、庵野のお説教タイムというか、庵野監督のマスターベーションの時間であると思っている。


 12話まではダイレクトなメッセージがすくなく、純粋にシンジ君の成長物語である。しかし、なぜか話はだんだん内側へ向かっていき、どんよりとしていくのである。説教臭くなっていくような気がしてならない。


 とはいっても13話に関してはそこまで説教要素はなく、ロボットアニメとして新しい試みをした回で、俺は結構好きな回だ。


 この回といえば、リアルタイム視聴でが見落とした人が多い回であり、なぜかといえば年末の特番の影響で確か時間が、4時くらいに変更されたのだという覚えがある。(通常は水曜18:30だった。この視聴率の低いのをいいことに、実験したんだろうなあというのが今思えば明らかである。

 

 一応内容を説明すると、今回の使徒はコンピューターウィルスである。まあ正確に言えばナノサイズの使徒が、進化してコンピューターをハッキングするに至り、ネルフ本部を自爆させようとするものなのだが、しかしまあ今まで散々、巨大ロボット戦闘を繰り返しておきながら、いきなりウィルス型の使徒になるとは、こんなんたまげますな。


 この回はとにかく、リツコさんがかっこいい。リツコが一人で、ハッキングしてくる使徒に対して、進化促進プログラムを打ち込んで、自殺させようとする。

 自爆まで残り1秒のところで、リツコはエンターキーをたたきこむのだ。


 おそらくアニメ史上もっともかっこよくキーボードのエンターキーが押された回なのではないだろうか。


 後このセリフもなかなかいい。


ミ「ちょっと、リツコ間に合うの?」

リ「1秒の余裕があるわ」

ミ「一秒って!?」

リ「0やマイナスじゃないわ」


 これはなにげに深い話である。文系ミサトと理系リツコの違いをはっきり示した会話であると感じた。

 文系ミサトは。1秒と聞いたら、「やばいもう無理じゃん」なのだが、リツコからしたら1秒でも、1分でも、0.1秒でも同じなのである。1秒でも余裕がある以上、それは十分なのだ。このメンタルを果たしてミサトが理解できる日が来るかと言えば、それはかなり微妙じゃないかと思う。

 おそらく、リツコの答えが「1分の余裕がある」でも、ミサトは不安であろう。


 これで何を思い出すかと言えば、今はもはや忘れられそうな、豊洲移転問題である。

 豊洲問題で求められたのは、科学知見から求められた安全ではなく、安心であった。「安心」の概念は非常に難しい、そこに数値根拠はなく、都民が不安だと思えばそれは安心ではないということなのだ。

 小池百合子はそこに付け込んで豊洲がとにかく安心でないことを訴え続け、いたずらに移転を遅らせた。


 しかし、本当に必要なのは安全である。

 もちろんこの場合の安全とは「リツコの一秒」である。一秒という数字は確かに不安ではあるが、しかし十分に安全な数字なのである。

 それ以上を求めても無駄というほかはない。1秒でも10秒でも同じである、気持ちの問題だけであって、結果は変わらないのだから。


 小池百合子に求められたのは、根拠のない不安ではなく、「リツコの一秒」であった。あそこで気持ちよく、エンターキーを押せれば自律自爆は解除されたのに、残念ながら、今小池百合子は希望の党というMAGIとともに自爆への道を進んでるように覚えてならない。

 果たして小池百合子を動かしたのは、都知事としての小池なのか、党首としての小池なのか、女としての小池だったのか?


 しかしまさかこのときは、リツコの母であるマギに対するコメントの「女としては憎んでさえいたわ」のコメントがまさに文字通りだったとは思いもしなかったなあ。


っていうかリツコはもっと評価されていいよね。すごい人気ないけど(´`:)

しかもミサトに二回もビンタされてる。

可哀想だよぉ


ミサトはほんとに無能なのに(´`:)

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