第2話


魔王の断捨離日和



「くうぅっさああああ!!!💦」



魔王として目を覚ましたママは、

あまりの鼻が曲がる臭さに目を覚まし、

大声で叫び起きた。



ママは、、

周りの恐ろしく禍々しい、、というよりも、

汚く、臭いゲームの中にいそうなモンスター。


よりも。

、、、大きくて広い臭い建物の中に激憤する。


彼女はこの世界の事を、少しリアルすぎる夢だと思っているらしかった、、。


※※※



硫黄卵に、ドブの側溝水を足して、黒カビを混ぜて玉にして口にくわえながら、鼻先に糞尿をつけられたみたいな、、


とにかくクサイ!!!


空気を入れ替えようと、、

窓を開けたら、湿気を含み、湿度100パーセントに淀んだニュルリとした空気が、身体にまとわりつく。


、、、しかも臭い。

何かが、腐ったみたいな匂い。

もう、空気の入れ替えどころじゃ無い。



真っ黒でボロボロのカーペットらしきもの。

その上には、黒々とした気持ちの悪い、、

何かと骸骨らしき骨やらが積まれて、、

尚且つ、酸っぱいような、加齢臭のような、

自分の顔を引っ張りたくなりような、キツイ匂いを放っていた。



魔王に生まれ変わったらしい、ママは、

くぅっさああああ!!!💦💢と?


口から光を咆哮しながら、

周りのウゴウゴと蠢く黒い塊の人たちに、

ゴミ袋、ほうき、雑巾を持って来させて、掃除に励むのでした。


※※※


「綺麗な水は用意できたの???」

ゴリゴリとした声な事だけが、気にいらないが、

天井から下げてある、ワゴン車みたいな大きさの大きなシャンデリア。


そこの白い糸状に垂れ下がった蜘蛛の巣を取り払いながら、魔王は遥か眼下にいるアメーバフードに声をかけた。



、、空を飛べるのは、なんとも便利だった。



「魔王さま、、

これは、棄てませんよね???

どこにしまいしょ???」



口から黄緑色のアメーバ状のよだれを垂らし、

床に引きずる裾が切れ切れのフードを被るドワーフの様な小さな人が、声をかけてくる。


この人は、魔王のそばでお世話をしている人らしい。

のだが、、その人自身が、埃まみれなのだ。


しかも、かぶるフードの頭の上には、無数の小さな黒い虫が走り回っている、、


、、、うわぁ、、気色わるぃ、、!!!💦💢


魔王は顔をしかめた、、


アメーバフードの指差す

これとは、、

床に転がった、死体らしい山の数々。


「一番先に、まとめて棄てなさい!!!💦💢」


肺が悪いんじゃ無いかと、

自分の声に心配するくらいのゴロゴロ音。


その声で、いつもそばにいる、アメーバフードに言う。



「、、あと。

あなた。

口から出てるアメーバみたいなの、

床に落とさないで、ちゃんと拭いて。」


その言葉にアメーバフードは、

自分の黒ずみ、今度は白くなりつつあるフードの布の端を掴んだ。


そして、、グイグイと口元の黄緑のアメーバを拭いたのだった。

しょうがなさそうに、、。


「💢💦子供かぁ?!!!💦

ちゃんと、ティッシュで拭きなさい!!!💢」


魔王の咆哮が、口から赤い光を飛び、

山積みとなっていた死体を燃やしたのでした。


※※※



綺麗な水は、この建物の中にはなく、、、

遠くにしか無いそうだ。


こまったわね。


何気なく、床の隅に転がしていた「勇者」とか言う方々の、死体の下から出てきた魔法の皮袋を、逆さにすると、、

その中から、ザラザラと出てくる青白いビン。


あった✨綺麗な水!!!✨


「あるじゃなぁい✨

ほら。

しょうがないから。コレをバケツに入れて拭きましょう?」


魔王となったママは、

魔王の居城する城に住むモンスター達に、

聖水たっぷりバケツに手を突っ込み、雑巾、、

清らかな布に染み込ませ、城の中をふけという。



、、魔王城の大掃除だ。



「ま、、魔王さま、、!!!💦」

魔王の側近の、黄緑アメーバフードと称された彼は、魔王の言葉に唖然となる。


外気の空気も気持ち悪いと、

空を飛んで、咆哮してまわり、黒々とした厚い雲を取り払い、

清らかな太陽の光を魔王の居城にいれ、、


まだ使えるだろうと思われたいくつもの、絨毯や、ベットマット、布団などが太陽に干された。



魔王の居城のモンスターは、

その掃除の最中。

不慮の事故、、もしくは、聖水を浴びて手を大火傷する。

もしくは、浄化されて消えるものが多発した。


魔王の居城が、だんだんと綺麗になる頃。


魔王はアメーバフードを見て、にたりとほほえんだ。


「綺麗になって気持ちが良いなぁ✨


、、ちょっとあなた。

その目玉。作り物?

汚れてるから、、ちょっと貸して?


、、ほら。

綺麗になった✨

、、、あら。

目が凄く綺麗、、✨❤️」


魔王は、腰を屈めてアメーバフードの頰にくっ付いていた義眼を聖水の染み込んだ雑巾で拭くと、目玉を元の目の中に入れた。


アメーバフードは、魔王のその行動に動揺して、オロオロとする。


大好きな崇め奉る魔王様に、

昔、お酒のつまみが足りないと激怒され、

食べられてしまった目玉。


その代わりに、勇者の目玉をいただいたのだけれど、、

わたくしのような、ネバネバアメーバにんげんに、

優しく、目玉を綺麗に拭いて下さるなんて✨❤️❤️❤️


はああ!!!✨❤️


アメーバフードは、黒くて歪んだ心がギチギチと、揺れるのを感じた。


表面的には、瞳だけが、ゆらゆらと緑色に揺らめいたのですが、、



魔王は、目の前のアメーバフードが、

腹の中で何を思っているのか知らないが、、


綺麗になった瞳を見て。

あぁ、、っと、ため息をついた。


「建物が綺麗になったら、

みんなで風呂だな✨

、、ここのみんな。汚すぎ!!!」




※※※


かくして、、


何千年と、誰1人。

魔王を倒しに来た勇者に、一度として負ける事のなかった、魔王の居城に在籍した千を超えるモンスター達は、、


聖水風呂に入ることで、

綺麗に浄化、、、


もしくは、闇の力が半減以下になったモンスターとなったのでした、、。


当の本人の魔王も、

清潔と綺麗と引き換えに、魔王としての力が半減したのでした。



おかげで、魔王の居城のそばの荒れた荒野には、

闇の力が弱まった事で、

みるみる色とりどりの花畑が出現し、蝶が舞う始末。



「うん✨

まあまあね✨

これくらいの環境じゃ無いと✨

綺麗が一番✨」



黒い鎧についていた汚れが綺麗に落ち。

肩から床にかけて広がる赤黒いマントは、

春風のような優しい風に膨らみ、、

アメーバフードの欠けた鼻先をかすめたのだった。



「魔王さま、、

あなた、本当に魔王さまですか???」


アメーバフードは、

綺麗な白い肌となった顔を、緑の瞳、黒い瞳の、

左右違う瞳で見上げたのでした。


「あらあなた。

可愛い顔になったわね???✨


そっちの方が良いわよ???✨

、、もしかして。

あの緑のアメーバは、、、ヨダレじゃなくて、

、、鼻水なの???」



魔王さまはズケズケと、アメーバフードを見下ろして言ったのでした。


※※※


この日。


何とか生き残った、魔王の居城モンスター達は、

何千年かぶりに、

新しい下着。お洋服、鎧などの新調に喜んだという、、、。


そして、、


「品良く、綺麗に美しく✨

片付けはちゃんとしましょう✨」



魔王の居城とは思えないスローガンが、

城にたてられたという、、。

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