お手紙
春風月葉
お手紙
子供の頃には友達とたわいもないことを。
高校生にもなると気になっている子へと恋文を。
社会人になると手紙を書く機会は減り代わりに書類を。
三十を過ぎると知り合いから結婚の招待状を。
今となっては葬式の招待状を。
手紙との縁は切れないのに…
人との縁は切れていく。
いつからだろうか、手紙を書くようになったのは。
いつからだろうか、手紙を書かなくなったのは。
いつからだろうか、手紙を貰うようになったのは。
いつからだろうか、別れの手紙を見るようになったのは。
愛すべき人は手紙も届かないところへと行ってしまった。
私もあの人を追うことにしようと思う。
この手紙は私の生涯における最後の手紙である。
その日、私は世を去った。
最後の手紙は机の上で、誰かに読まれるのを静かに待っている。
お手紙 春風月葉 @HarukazeTsukiha
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