01_あなたの隣に「クソ運営」
さて、連載を始めたのはいいものの、実際に何を書こうか……と考えたときに、やはり最初は多くの人に馴染みのあるテーマが良いだろう、と。
現代に生きていて、ある程度ネットを利用しているなら高確率で目にしたことがあるであろうワード「クソ運営」。
記念すべき(?)第1回は、クソ運営について書いていこうと思います。
そもそもクソが付く前に運営とは何なのか?に少しだけ触れておきましょう。
ここで言う運営はもちろんソーシャルゲーム運営の事(ニ○ニ○とかじゃないよ)で、とあるゲームのリリース後、サービスが終了するまで更新作業をする集団を指します。
各職種の役割なども後々書こうと思いますが今回は省かせていただきます。
それでは本題に行きましょう。
声に出して読みたい日本語「クソ運営」、どんな場面で使われることが多いでしょうか。
よくある実例をもとにいくつか紹介します。
Case.1…とあるアプリで更新のためのメンテナンスが行われていました。
16:00終了予定でしたが、不具合が発見されたため18;00まで延長すると公式Twitterから発表がありました。
公式Twitterに高速かつ大量にリプライが届きます。
「クソ運営いい加減にしろや」
「出たクソ運営wwwwwwwwwwwwwww」
「お前らクソ運営に何期待してんの?」
おめでとうございます!クソ運営誕生の瞬間です。
ここでの「クソ運営」ポイントはメンテナンスが予定されていた時間通りに終了しなかったことで、メンテ明けの時間に合わせてスケジュールを組んでいた方には多大な迷惑をかけることになります。
その時間でデイリーミッションを消化しようと思っていた方、ランキング形式イベントのスタートダッシュを狙っていた方などは非常にがっかりしたでしょう。
間違いなく「クソ運営」ですが、一つだけ良かった点があります。おわかりでしょうか?
……はい、「メンテナンスが明ける前に不具合に気づけたこと」に他なりません。
例えば新しいガチャで排出される予定のキャラクターが実は出てこない設定になっていた(ここまで極端な事例はまずないと思いますが)、といったとんでもない不具合を抱えたままリリースしてしまうと、ゲームだけでなく会社そのもの、更にはお借りしているIP(知的財産/intellectual property)の地位を著しく損ねることになり、何よりお客様に多大なご迷惑をおかけすることになります。
上記のような事例だとまず間違いなく不当表記として消費者庁からの指導も入りますし、当然お金を使っていただいたお客様には返金しなければなりません。
メンテナンスが明ける前に不具合を認識できたのは僥倖と言えるでしょう。
とは言え、そもそもメンテナンス中にデバッグ確認している事自体がちょっと疑問で、運営体制に問題があるのは間違いないと思いますが……
このケースに限らず、普段からユーザーに迷惑をかけ続けているゲームは呼称が「クソ運営」で固定されがちです。
Case.2…とあるアプリで新イベントが始まり、今回から追加された高難度ステージについてSNSやネット掲示板でこんな反響がありました。
「開幕1ターンで半分削られたんだけど頭おかしいんか?クソ運営死ねや」
「明らかに設定ミスだろ。クソ運営ちゃんとテストしたのか?ん?」
「○○(ガチャ産の強キャラ)いないと話にならなくない?もうこんなクソ運営に付いていけんわ」
おめでとうございます!クソ運営誕生の瞬間です。
……でもちょっと考えていただきたいポイントがあります。
いったい誰にとっての「クソ運営」なんでしょうか?
ここで彼らの意見を取り入れて素早く難易度緩和の調整をし、無課金でもそこそこ余裕を持ってクリアできるであろう難易度に更新したとします。
彼らはこう言ってくれるでしょう。
「クソ運営たまには仕事するな」
「これは良調整」
……などなど、好意的なご意見を多数いただけて、一見素早い調整が功を奏したように見えます。
が、もし自分が課金をして手に入れた高レアリティキャラを持っていて、周りのユーザーが手こずっている中いち早く高難度ステージをクリアしていたとしたらどうでしょうか。
その瞬間はカタルシスを感じるでしょうし、周りからも称賛されるでしょう。このキャラクターがいて良かった、あの課金は無駄じゃなかったな、と感じると思います。
そんな満足感に浸っていた所、突然アプリが更新されて難易度が急落し、ほとんどのプレイヤーがクリアできるようになってしまいました。
……正直がっかりしませんか?このゲーム、課金する意味ないじゃん、って思いませんか?
長々と書いてしまいましたが、ここでの「クソ運営」とは、「クリアできないけどクリアしたい、でも強キャラはいなくて、ガチャも回したくないけどクリアしたい。クリアできないのは理不尽だ」と感じていて、それをそのまま投稿する非常に声の大きい層にとってのクソ運営という事になります。
勘違いして欲しくはないのですが、私は無課金ユーザーをバカにしたいわけでも蔑ろにしているわけでもなく(このあたりは別記事にしたいと考えています)、お金をかけて遊んでくれているユーザーにとって理不尽な思いをさせるのが真の「クソ運営」だと言いたいのです。
基本無料のソシャゲというものはここのチューニングが非常に難しく、イベントや新機能を追加する際には必ず、どんなユーザーにとってメリットがある施策なのかを考える必要があります。
Case.1とは違い、どれだけ「クソ運営」と言われても狙った層に届いてくれれば良い場合というのが確かにある、とお分かりいただけたのではないでしょうか。
SNSなどで「クソ運営」というワードを見かけた場合、マジモンのクソ運営なのか(この場合、遠慮なく厳しいご意見をお寄せください)、それとも違うのか……
少し踏み込んで考えてみていただけると、中の人としてはちょっとだけ嬉しいです。
いつもバグ出して申し訳ありません、調整ミスって申し訳ありません、誤字脱字キャラブレ申し訳ありません……それでも遊んでくれていて本当にありがとうございます。あなたのおかげで私達は今日も生きていけます。
さて、今回はこのへんにして、次回はテーマを引き継いで「クソ運営は何故いつまで経ってもクソ運営なのか」について私見を述べようと思っています。
今後この連載をどのようにしていくか実は全く決めておらず、ソシャゲの開発や運営について質問がありましたらお気軽にコメントいただけると嬉しいです。
全レスはお約束できませんが、できるだけ連載にまとめていこうと思います。
それでは、皆さまのソシャゲライフが少しでも豊かになる事を祈って、今回は失礼いたします。
ソシャゲ系フリーランサーの物置 とりしま @s_shikishima
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