鋼鉄の非処女
春風月葉
鋼鉄の非処女
私の身体は鋼鉄でできている。
いつか朽ちて廃棄されるまで、私は永遠に処女である。
私という人の女を模した拷問器具に与えられた名前はアイアン・メイデンだった。
つまり鋼鉄の処女であるが、その使用用途は単純にして奇抜である。
無数の針を体内に内包した私の中に脆く柔らかい人を入れ、身体中のありとあらゆる場所に穴を開ける。
あとは身体の痛みと暗闇の恐怖に襲われ、人間が罪を自白するのを待つだけだ。
私は人の身体を傷つけ、人の心を犯し、人の持つ純潔の経歴に嘘で塗り固められた罪を注ぎ込む。
いくら人の持つ処女の如き心を犯しても、私の名前は鋼鉄の処女なのだ。
そう思っていた。
しかしある日気がついてしまったのだ。
自分は初めて人に穴を開けた時から、処女なのではなかったということに。
ほら、見えるだろう。
べっとりとこべりついた赤黒い血のあとが。
…あぁ、こんなにも私は赤い罪を注ぎ込まれてしまっていたよ。
それを知った時から、私は朽ちる日を待ち望んでいる。
罪の歴史から何年が経ったのだろうか?
鋼鉄の身体は今も果てることなく残っている。
鋼鉄の非処女 春風月葉 @HarukazeTsukiha
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