シアリアスナイト【10:朝陽を浴びて】

 華琉はるの指定した場所_五星いつぼし川の土手_に着いた時には、すっかり空が白んでいた。

 川面の先。地水平の向こうから、ゆっくりと明るい光球が姿を現わした。日の出だ。

「何度見てもすがすがしいよね、日の出って」ながるがしみじみと言う。

「シアリアスナイトはもうおしまい。今日も快晴、ハッピーデイ、ってね」とあきら

「私、今回の件で、やっと皆さんと共有できる思い出を作れた気がします」

「そんなことないよ、あやめちゃん」

「そうだよ。あんたは静垣しずがきにコクったあの日から、あたしたちの仲間だ」

真王なお賢木原さかきばらさんが続け様に言った。

 俺は別のことが引っかかっていた。遊びに出かけた昨日が連休初日。そして今日が中日だ。……ということは……。

「華琉、明後日、お前の17の誕生日じゃねぇか」俺は言った。「最悪の前祝いにしちまったな」

「いいよ。気にすんなって。むしろ、将来、自分の子どもに聞かせる武勇伝が1つ増えただけさ。前にお前言ってたろ? 『親の日常は子どもにとっての伝説だ』って」

「うふふふふ」菖さんが笑った。

「あはははは」続いて賢木原さんが。

 つられるように流、真王、聖……気づけば全員が笑っていた。

 俺たちの笑い声を逃がすためかのように、空は澄み切った晴天だ。今日も好天。世の子どもたちよ、目一杯遊びなさい……。

 さて、家に帰って仮眠を取ったら、今日は一日、何をして過ごそうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ENDLESS DAYS 赤音崎爽 @WyWsH3972

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画