第6話

父は北村幸吉といい、堅物で酒は飲まないが利き酒が得意で毎年伏見の利き酒会には酒造元より呼ばれていたそうである。

しかし甘い物が好きで其れで胃潰瘍となり若死の因となった。

妻との間に女の子がいたが、その妻は亡くなり後の滋賀県稲枝の堀家(農家で平流村の庄屋を務めていた)から再婚の為迎えられたのが私の母である。

姑と13歳になる先妻の子に尽くし随分働いたようである。父があまり丈夫ではない為、若い者を使いながら寒い冬でも荷車で酒樽を木屋町の川で洗ったと話していた。

伏見稲荷の初詣に誕生そこそこの私を連れてお参りし、人ごみで私を肩車して帰ってきて疲れた、重かったと言っていたそうだが其れが最後で、その後病み付きとなったのである

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