元獣狩りの学園生

@hikaruisida

第1話

「 顕現せよ、深紅の瞳を持つ者よ、我に仇なす者を焼き尽くせ」

詠唱えいしょうと共に投げられたカードは宙でヒカリ出した。

「…………スカーレットボルケーノ」

詠唱が完成するとカードが紅くヒカリそして目の前の的まとへとカードが炎のブレスを解き放った。

そして残ったのは燃え尽きた的と手元にある竜の描かれたカードだった。


14歳の誕生日に10人に1人くらい特別な夢を見る人がいる。

その夢を見た人は力を手に入れる、そう何年も繰り返されてきた事、力得た人はそれを磨くための学園に行くというこれも繰り返されきた事。

そして夢を見た人はその16歳になるまでに力を手に入れるのである…………そして今日で僕は14歳になるのであった。


空の青ひとつない雲の下屋上は昼時の賑にぎやかな教室とは違い静かな場所だ、そこで昼を済ませ横たわった。

照明が照らすステージの上を見ていた、2人の少年が向き合うように机を挟んで座っている手に持ったカードを机に置き何か言っているように見えるが聞こえない、それを交互に繰り返し続けている。

そして右側に座っている少年がカードを机に置いて少し経つと右側に座っている少年が立ち上がりガッツポーズを左側に座っている少年は机に手を付きうなだれていたそしてブツッと断ち切られたかのようにして目が覚めた。

いつの間にか寝ていたようだ時計はもう1時になっていた。

そこからは流れるように時間が過ぎていった授業が始まり下校する間に誕生日だという事を言われ「夢見たか教えろよ」っと言われたりした。

その後家ではケーキを食べそのまま寝るのであった。

そしてその夜には夢を見なかった事に安心した。

後日学校で夢は見なかったと伝えたら「つまんな」っと言われた、そしてその後同じクラスの田中が骨折したぐらいで特におもしろいこともなく夏休みを迎えた。


夏休み初日、セミがうるさい中夏休みの宿題に手を始めるとすぐに身近な欲に負けてしまうのであった(アイス美味しい)。

こんな感じで少しずつ宿題に終わりが見え始めたとき宿題のリストにあるプリントがない事に気が付き学校へと出掛けた。

夏休みの学校は誰もいない静かな場所だと思っていたが部活民の方々がグランドを走っていた、事務で理由を言い教室のカギを受け取りまっすぐ3階の教室へと向かった。

誰もいない教室にはセミの声と部活民のがんばる声がよく聞こえた。

自分の机から忘れていたプリントを見つけるとすぐに教室のカギを閉めて外に出るのであった、そのときふと学校裏にある山へと足が向いた。

この山の名前は天川山あまがわさんといい山にある川にこの時季ホタルが飛び交う様子が天の川のようだからだそうだ。

そして天川山の中腹にある賽銭箱さいせんばこに金を入れると願いが叶うと田中が言っていた(骨折が予定より1週間早く治ったらしい)。

本当に願いが叶うのかは知らないがなんとなくでそこに向かっていたそしてこれが間違いだった。

山を登り始め15分が経ったところだか目的の賽銭箱が見つからない、この山はあまり高くないのですぐに中腹には到着するはずだしその場所の目印の地蔵があるはずだ(田中情報)。

そこでやっと事態に気付いたどうやら迷い込んだらしいあたり一面はこの時季にあるはずのない紅い紅葉が風に揺れていた。

力の発症から数年後に現れた存在元獣げんじゅうこいつらは別の次元の生物と推測されていてこちらの世界となんやかんやで交わり結界と共に移動して中に入った生物を襲う習性がある。

結界の中に入ったときの対象法というものがあるそれは1つ元獣に出くわす前に結界から出る事結界は今まで確認された中では最低半径50メートルはあると言われている2つ目は力を持つ者が倒すそして3つ目……あきらめる。

迷わず1を選び学校のある方向へと走りだした。

紅葉が風に舞う中を夢中で走って行くとそこにはクマがいた普通のクマよりも大きくそして30センチくらいはありそうな爪を振りまわして歩いていた。

元獣の由来はベースとされていると思われる動物にはないパーツがあったり元の獣の姿とは違うことからきたらしい。

そしてもうひとつ結界についてどうやら勘違いをしていたらしい。

今その元獣がいる場所から結界の境目が見えるわかりやすく説明するとその先からは紅葉がないのだ、ようするに結界は元獣を中心できているわけではないことだ。

ここでの思いつくだけの対処法が出した1つ目このまま元獣が移動するのを待つその間に力を持つ人が来てくれるのが一番いい、2つ目結界の境目にそって移動して元獣から離れた場所からの脱出する、3つ目正面突破。

そこで元獣の方を見ると今の自分の位置から少し離れたここでよしっと腹をくくり3つ目の正面突破をしようとしたそのとき最もよくあることをしてしまった。

勇気を振り絞り自分ならできると言い聞かせ一歩足を出すとバキッと木の枝を踏んで折ってしまったそれと同時に元獣がこちらに気が付き突進してきた。

そして声にならない叫びをあげながら全力で逃げ出した木々の間をジグザグして逃走していると後ろからは元獣がその立派な爪で木々をなぎ倒しながら追って来ていた。

一心不乱に逃げていると結界の境目など考える余裕がなくただひたすらに逃げていたそうしているとあたり一面にあった木々は全てなぎ倒されそしてその木に引っかかり転んだ、そして目の前には元獣がいた……そうか終わったなと目をつぶり無心になった、元獣が爪を振り降ろすその風を切る音を耳にして強く目を閉じたとき自分の中で奇妙な感覚に襲われた。

黒い部屋の中自分に向けられた12の視線を感じたそして正面からの視線が胸を貫いた。

そして冷たい空気を肌で感じ取った。

「ケガはなさそうだね安心してもう大丈夫だから」

その優しい声を聞くとと恐る恐る目を見開いた。

そこには白銀の髪の少女と地面から伸びる氷柱に貫かれた元獣の姿があった。

「あ、ありがとう」

それしか声が出なかったそれ以外に何を言えばいいかがわからなかった。

「ケガはないからここから1人で帰れるよね」

「は、はい」

元獣が崩れ風に吹かれたかのように消え去るのを見届けていた少女はこちらを見てにこやかに笑い後ろを向いて去っていた。

紅葉が消えて夏の葉をたくさんつけた木を見つめているとそこには地蔵と賽銭箱が置いてあった。

「また会えますように」

気がつけば賽銭箱にお金を入れて地蔵を拝んでいた。

この日を境に僕、月見里月美やまなし つきみの力が目覚め始めたのは自分でも知らなかった。



その日は急いで家に帰った、ドアを開け靴を脱ぎ素早くそろえて夕方のニュースを見始めるキャスターのあいさつから入るとしばらくしてとある言葉が聞こえテレビに視線を向けていた。

『本日3時頃に出現した元獣は覚醒者ウェイカーが到着する前に消失が確認されました。詳細は未だに不明です。』

力に目覚めた人のことを覚醒者と人々は呼びそして今日助けてくれた白銀の髪の少女はどうやら覚醒者が集められる学園の生徒ではなかったらしい。

そしてこんな波乱な1日が終わった。

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