異世界からの進軍1
死とは始まりと同じである。
どこかの誰かの言葉か忘れてしまった。
これからも、俺は死に向かう。
俺はこの世界を生き抜くことに疲れてしまった。いや、飽きてしまったというのが正しいだろう。
2035年、地球上から争いという概念は焼失した。国は統合され、宗教は焼き払われた。人は等しく平等になり、違いがなくなった。人はすべて一つのモデルに統合され、名前だけが個人を判別できる手段になっていた。その名前という文化すら、いつしか消え行き、人はすべてに成り下がった。こうして、世界はすべて一つになり平和になった。
しかし、俺はこの世界が誰もか望む理想郷で有ることを理解しながら、嫌悪した。俺は、いつしかこの世界から抜け出すことばかり考えていた。
そして、私は思い付いたのだ。
たった、一つ、この世界のから逃れるための方法を。
その計画を実行するために今、この場所にいる。
あぁ、あと一歩踏み出すだけでこの漂白された世界から逃れられると思うと体じゅうに歓喜が行き渡る。
そして、一歩を踏み出した。
俺がさっきまでいたところからどんどん離れている。やっと、死ぬことができる。
俺が生まれてから最大の幸福を感じながら、意識は闇に溶けていった。
目を開けるとそこは古びた図書館だった。俺が想像していた天国とはあまりにかけ離れており、俺は自殺に失敗したのかと落胆した。
すると、正面から声がかけられた。
「こっちにきてください。」
どうやら、司書らしき女が俺に向かって言っているようだった。
その声に従い、俺は司書らしき女の元に行った。
すると、女は仏頂面のまま、表紙何もかかれていないどす黒い本をこちらに差し出してきた。
そして、それを受け取った。
そこから、地獄が始まった。
神ノ原のヒトビト @goyouking
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