第5話冒険者登録

 正直に言うと、俺の顔は俺が見ても可愛らしい顔だった。まだ童顔だしまぁしょうがないっちゃしょうがないけどな。将来はイケメンだな。絶対に。


 ただし、そこら辺の人とは違う"もの"を俺は持っていた。


(そりゃ、こんなの見たら驚くわな……街の人がなんで二度見すんのかわかった気がしたわ……)


 髪の毛は、金色と赤色が疎らに混ざった、髪の毛だ。メッシュ(?)だと思うが。

 そして、それだけでも驚く要素はあるんだが、驚くことに両方の眼の色が違うのだ!

 前世では『オッドアイ』なんて呼ばれてたっけか?

 これはマジで驚いたな。だってさ、『オッドアイ』の人って伝説上の人物でも極わずかしかいないって言うじゃないか。

 そんな珍しいのを見たら、そりゃ二度見するわ。


「さて、そろそろ冒険者登録しに行こうか」

「そうだね〜いこ〜か〜」

「うん!僕楽しみだな〜」


 中央にある噴水から、南へまっすぐ進んでいくと、剣と盾クロスしているのが目印のでかい看板が見えてくる。建物もそれなりにデカい。


 入口にあるスイングドアを開けると、視線が一気に集まってくる。しかし子供だからか、すぐに興味が無くなったかのように視線を元に戻す。


 入って右側に受付があって、正面にクエストボードなるものがある。左側は酒場──と言うより、食事処が正しいか?──がある。

 建物内の五分の二ほど使っている。

 ちなみに、二階は三分の二が酒場と化してる。残りの一は寝床だ。

 正面にあるクエストボードは横にでかく、いろんな人が自分に合ったクエストを捜しまわっている。

 右側の受付嬢だが、やはり美人揃いだった。中でも一番美人な所は行列が出来ていた。

 まぁ、美人って言っても俺が二〇超える頃にはババアになってるので興味はない。

 さて、一番空いてるところは……っと。


「おっ、あそこ空いてるな。それじゃ行こうか」


「すみませ〜ん、冒険者登録したいんですけど」

「けど〜」

「したい!」


 おいおいお前ら、可愛いかよ。


「はい、冒険者登録ですね?それでは、ここに名前と歳と使える武器を書いてください。あっ、代筆はいりますか?」

「わかりました」

「だいひつ?なにそれ〜?」

「代筆って言うのはね、代わりに書きますけど、大丈夫ですか?って意味だよ」

「へ〜、僕知らなかったよ。ハルマくんって物知りだね〜」

「うんうん。私たちに文字も教えてくれたしね!」


 盛り上がってるとこすみませんが早く書きなさいあなた達、受付嬢が困ってるでしょ。

 え、おれ?もう既に出来てますけど。ドヤァ。


「あ、俺はもう出来てるので」

「あっ、はい。ありがとうございます。え〜と、ハルマくん?歳は六歳!?六歳でこんなにも頭いいって……これは玉の輿狙えるかもしれないわね……」


 ……聞こえないような声でブツブツ言ってるけど、あいにく俺は耳が良くてですね。聞こえてるんですよね。はい。

 この人何言ってんだ、こえぇぞ……。


 そうブツブツ言ってる所に、ハルマがジト目で睨む。


「はっ、す、すみません…。え〜と、使える武器は……そうけん?」

「あっはい!二つの剣を両手で持つんですよ!」

「へ、へ〜初耳ですね……」


 は、初耳?おかしいな、双剣出回ってないのか?でも俺、双剣術使えるしな〜。


「できた!」

「僕も!」

「はい、ではご拝借させていただきますね。」

「ごはいしゃく?なにそれ〜?」

「借りますねって意味だよ」

「あ〜なるほど!」

「なるほど〜」

「本当に六歳?どこでそんな言葉習ってきたのかしら……というか、ハーブさんってボクっ娘?萌える!これは萌えるわ!」


 またブツブツ言い始めたよこの人…。


 またまたジト目で睨むハルマ。


「はっ、すみません…。え〜、レモンさんにハーブさんですね。歳はハルマくんと同じく六歳ですね。使える武器は……レモンさんが弓で、ハーブさんが大剣……?えっ、こんな小柄なのに大剣って……え、なに?ギャップ萌え狙ってるのかしら?やばい、萌える……」


 またこの人は…。さっきから何回ブツブツ独り言を言ってんの?


 これまたジト目で睨むハルマ。


「はっ、すみません。で、では登録させていただきますね」

「ね〜ね〜なんで僕のことをさんって呼ぶの?僕男だよ?」

「えっ!?す、すみません!……これで男?男なの?これはあれね……将来はハルマくんとハーブくんが……えへ…えへへへへへ……」


 おい、こいつとうとう頭が行かれやがったんじゃねぇのか?なんか、寒気したんだが……。


「はっ!すみません!冒険者登録ですね!」

「あっはい」


 にやけ顔でいうなよ……。


「では、ここに血を一滴垂らしてもらえますか?」

「わかりました」


 そうやって取り出したのは、掌の大のでかさの水晶だ。


「わ〜きれ〜みてみてハルくん、可愛いね〜」

「そうだな〜虹みたいに光ってて綺麗だ」

「お〜きれ〜!こんなの欲しいな〜!」

「あの〜血を……」

「あ、すみません。見惚れてしまって」



 そして、俺たちは順番ずつ、貸してもらったナイフで指先を切り、血を一滴垂らした。


「いつっ」

「大丈夫か?後で『|回復』かけてやろうか?」

「うん、ありがと…」

「これぐらいで情けないな〜、僕なんか毎日ハルマくんに転されて擦り傷だらけだよ〜」

「お前にも毎回『リカバリー』かけてやってるけどな」


 そんなことを言ってるうちに、冒険者カードの発行が終わったようだ。


「それでは、ハルマくんどうぞ」

「ありがとうございます」

「レモンさんどうぞ」

「ありがと〜ございます!」

「ハーブくんどうぞ」

「ありがと!」


 よし、それじゃ外に出て家に帰るとするか。


「あっ、説明は聞きますか?」

「あっいえ、お構いなく。知っていますので。それと、この子達には俺が教えた方がわかりやすいかなと思いますので、大丈夫ですよ」

「そ、そうですか…。そ、それでは、また来てくださいね!ありがとうございました!」

「はい!ではまた!」


 三人が去った後の受付嬢は、顔がにやけまくっていた。

 それをみた同僚は。


「えっなに。何かあったの?顔がえげつない事になってるよ」

「え?い、いやこれは何でもないわ。ただ、あの子達の将来を考えると……えへへへへへ……見事な三角関係ね……えへへ……そこに私が……えへへへへへへへ……」

「こ、怖っ!」


 三人が知らないところでは、こんな会話がされていたのであった。


「うっ、寒っ!暖かくなってきたのに背筋が……なにか悪いものでも食べたか?」

「ど〜したの?」

「いや、何でもない。それで、冒険者についての続きな。冒険者にはランクがあって、ランクは……」


 ランク


 S〜E

 E木製

 D石製

 C鉄製

 B剛鉄製

 A金製

 S白金製


 依頼


 通常依頼:常時依頼と受注依頼。

 常時依頼は、依頼主がギルドなので、報酬が左右されない。よって受注しなくても良い。


 受注依頼は、依頼主によって報酬が左右されるので、受注しなければ報酬が受け取れられない。


 指名依頼:指名される依頼。

 報酬が普段よりも増すので、優先してこなすのが普通。指名依頼がある=国にとっても、ギルドにとっても利益のある人物。


 緊急依頼:緊急時に国から依頼される。

 魔物の氾濫や、戦争、急襲、魔王軍の進軍、スタンピード、災厄時に国から依頼されるか、ギルドから発注される。危険を伴うが、その分国や、ギルドから依頼される物なので報酬が大分と増す。


 パーティ・クラン


 パーティ

 最初はパーティを組んでランクを上げる冒険者が大半だとか。

 最初のうちはまだ技術も備わってないものが大半なので、危険の少ないパーティを組んだ方がランクをあげやすいし、先輩の技術を盗むことも出来る。まさに一石二鳥……いや、一石三鳥だ。

 パーティは基本二〜五人で組むことが多い。それ以上増やすと、返って邪魔になるまである。


 クラン

 クランはBランクから入れるし、作れる。

 有名なギルドに入ってるだけで名誉な事なのだとか。

 月に一回、クランのメンバーがこなす依頼の数だけギルドから報酬が貰えるんだとか。

 有名になればなるほど、そのクランに入ってるだけで勝手に金が貰える。

 しかし、クランのリーダーはメンバーを除外出来るらしい。つまり、何も依頼とかしていない奴がいたら、除外できるんだとか。

 クランは基本一〇〜五〇で組むことが多い。多くて損は無いが、多すぎると取り締まるのも苦労が掛かる。

 今のところ、多くて一八〇位なんだとか。誰だ取り締まるのも苦労が掛かるとか言ったやつ。まぁ、嘘ではないんだが。


 それと、ギルドは中立、謂わば独立国のようなものだ。ギルド上位者(B〜S)は、専属国の戦争に駆り出されるが、下位者(C〜E)は自由参加なんだとか。ちなみに、ちゃんと参加した全員には報酬が出る。それも、超が着くほどの金がだ。


「う〜、そんなにいっぱい覚えられないよ〜」

「ぼ、僕も……」

「いや、別に一気に覚えなくていい。やってたら自然と身につくし、分からなかったらその都度その都度俺が教える。だから安心しろ」

「ありがと!やっぱりハルくんは優しいね!」

「うんうん、ハルマくんは優しい!」

「なんか、照れるな……ははっ」


 そうして、俺の冒険者登録は終了した。

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英雄譚〜転生少年の成り上がり冒険譚〜 エリス @1259524

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