第4話魔法の実験
朝起きて朝ごはんを食べ、学校へ行くサナを見送る。
そして、隙を見てはマリナに手伝ってもらって発声練習と、筋トレ紛いのものをしている。ちなみに、もう歩けるようになった。
夜みんなが寝静まってからは、マリナに文字と言葉、魔法やこの世界のことについて教えて貰っている。
これを約二年繰り返した。
そこから発声練習を抜いて、体幹トレーニングと筋トレを二年間続け、今に至る。
文字は約一年で全部覚えれた。
この世界のことも大体分かった。
魔法の事も分かった。
魔法は、魔力を使いイメージが出来れば大体全部出来た。
転移も出来たしな。だから俺は実験してみることにした。イメージだけの魔法と、原理もわかっている魔法。
そう、簡単に原理がわかるものと言えば『炎』だ。簡単だな?そりゃ『火』の原理わかってたらもうわかったも同然だもんな?
『火』の原理なんぞ小学生の時に習うもんな。
そして、結果的にはその実験は成功を収めた。
『火』の原理を知らないマリナに『
……でかくね?
ま、まぁいいや。
次に、マリナに原理を教えてから、もう一度『火球』を唱えてもらった。
すると、先とは比べ物にならないほどの火の球が出現した。そのでかさ、およそ直径一五mだ。
いや、流石にそれは……。
化け物でしょ…。
「おお、これは凄いですね。火は苦手な部類に入るのですが、風魔法でやるとどうなるのでしょうか。気になりますね」
とはマリナの論だ。
えぇ……苦手な魔法でそれかよ……。
カノンの『火球』を見たことがあったけど、既に人外と言われてるカノンでさえ直径三〇cm程だった。
マリナ……いえ、マリナさん…貴女何者……。
「ん?原理がわかる前と原理が分かったあとの魔法を使った際の脱力感が違いますね。原理がわかると魔力の消費量が減るのですか……面白いですね」
とはマリナの論だ。
次に、"無詠唱"の実験をしてみた所、これまた成功を収めた。
そもそも"詠唱"というのは、イメージしたものを具現化するために……いや、そのイメージを固定するため。だな。その為に"詠唱"という過程が必要なのだ。
そもそも、イメージを固定しなかったらどうなるか。
それは、魔力が暴走したり、例えば『
しかも、火力も覚束無いのだ。
つまり、イメージが固定されているのと、されていないのでは雲泥の差がある。ということだ。
ん?と疑問に思うかもしれない。
それもそうだろう。固定するために"詠唱"がある。
それを、"無詠唱"でしかもイメージを固定しながら放つというのは、高度…いや、無理だと言われている。
しかし、俺は実験の結果、見事"無詠唱"を成功した。しかも威力や飛距離を落とさずに、だ。
そもそも原理を抑えていればイメージもクソもないのだ。なんでも"過程"は必要だろう。
さて、いままでマリナと一緒に実験をしてきたのだが、そろそろすることも無くなってきたので、マリナに「剣術とかって出来る?」と聞いたところ。
「はい。剣術に限らず、拳術、槍術、短剣術、杖術、鎌術、弓術、投擲術、柔術、暗殺術、とこのように色々できますよ」
「……………………」
マリナさん、貴女マジで何者……。
そして、マリナに教えて貰って、『剣術』『拳術』『短剣術』『投擲術』『柔術』『暗殺術』を覚えた。
……この体、覚えるの早くないか?五歳でもう既に六個の武術覚えるって何よ。……本当になんだこれ…。
「こんなに早く覚える方は一生探してもいないですよ。流石坊っちゃまですね」
とか言ってるけど、俺もそう思った。
まぁ、前世では大人だったからな……。覚えるのが早いのは、それも影響してるんじゃないかな。
あと、ご近所付き合いみたいな感じで、ハナが良くママ友とお茶会を開くから、幼馴染的なやつもいる。女の子と男の子だな。
最初「女二人かよ……これはしんどくなるな……」とか思ってたけど、聞いてみれば男の子って言うじゃないか。流石に、「えっまじ?」ってなったぞ。
そして、その男の子がこれまたヤンチャでな。よく俺に勝負だ!って言って、おもちゃの剣で俺を叩こうとしてくる。
まぁ、俺は毎日マリナと特訓してるお陰か、普通に躱したり、受け流したりしてる訳だが。最近、その男の娘──名前をハーブと言う──の技に磨きがかかってきたのか、前まで余裕であしらっていたのが、段々と俺も技を使わないと受け流せなくなってきたのだ。
子供って怖いよね。
そして、女の子──名前をレモンと言う──の方は
俺が先生で、レモンとハーブが生徒という謎の設定でやっているんだが、おれが本格的に文字と算数を教えてやったら、飯事にも関わらず覚えてしまった。
いや、飯事だからいいよね。うん。飯事だし……。うん……。
そして、俺に妹が出来たんだ。
名前は『モカ』って言う。サナと俺がずっとじゃないけど付いていた。だってさ、可愛いんだもん!しょうがなくね?
そしてそれからまた約一年。
とうとう六歳だ。学校に通える年になった。
小等部は義務教育で、試験とかはない。お金も、国から出るのだ。だから、平民でも気兼ねなく学校へ通えるってわけ。
そして、他にもある。
冒険者登録出来るのだ!六歳からは冒険者登録が出来る。平民とかでは、中等部に上がりたい子は冒険者登録をして、お金をコツコツ貯めたりする子も居るんだとか。
その子は将来凄い偉人にになるかもしれないな。
そして、冒険者と言ったら異世界物の定番中の定番!ド定番だ!
ワクワクが止まらない!
「どうしたの?ハルくん、そんなにニコニコして。いい事あった?」
「いや、冒険者登録できるじゃん?だからさ」
「そうだよ!僕達冒険者登録出来るんだよ!お〜!ワクワクするな〜」
ちなみに、レモンは黄髪黄眼のショートで、肩で揃えてる。前髪はアシメにしてて、可愛らしい印象を受ける。
ハーブは黄緑の髪でエメラルド色の眼だ。結構髪を伸ばしてて、今は肩よりちょい下らへんだ。サラサラしてる。男なのに。
あっ、そう言えばマリナの容姿も言ってなかったっけ?
マリナは黒髪の黒眼なんだが、ちょっと赤が混じってる。ストレートで腰より下あたりまで伸びてる。ツリ目気味で、ツンとしてる感じで、クールっぽさが出てる。
あ〜そう言えば俺って自分の顔見たこと無かったっけ?
気になるな……そう言えば外に出て、街ゆく人と目が合ったらビックリされてたな。そんなに俺不細工なのかな?いや、あの親だぞ。美形の親の遺伝子を引き継いでるなら不細工ではない……はずだ。
じゃあ、何故なのだろうか?う〜ん、気になるなぁ……。
ちょっとあそこにいって見ようかな。
「なぁ、その前にちょっと行きたいところあるんだけど、いい?」
「ん〜?いいよ〜」
「大丈夫だよ!僕ちょっと緊張してきたし……ははっ」
緊張か……まぁ、そりゃそうか。
冒険者ギルドって大人ばっかで、しかも強面の奴らばっかだしなぁ〜。
「とうちゃ〜く」
「え?ここ?」
「ここって……噴水だよね?」
「そうだよ!噴水の水見てたら、緊張和らぐんだよ!あと、雰囲気と音もね」
「へ〜」と言いながらみんなで噴水の水を覗き込む。
俺が見た俺の顔の第一印象は「マジかよ…」だった。
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