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 武装した男達とすれ違ったあなた。その時は何事もなく通り過ぎたものの、あなたの顔を見た集団のリーダーらしき男が、何かに気付いたのか突然振り返って呼び止めた。


「おい、そこの男、ちょっと待て」

「えっ?」


 呼び止められたあなたは困惑する。何故ならそのリーダーの顔に全く見覚えがなかったからだ。もしかしたらこの集団は山賊のたぐいかも知れないと、あなたは緊張感に包まれる。そうして護身用の剣に手をかけたところでリーダーが話を続ける。


「私は王国の第二王子カイルだ。お前があのダンジョンを攻略したのだな」

「あっはい」


 山賊かと思った集団の正体は王国の王子とその護衛団だった。荒くれ者達じゃないと分かった途端、あなたの緊張は解きほぐされる。自分の功績が王族の間に知れ渡っていると分かったあなたは少し誇らしげな気持ちになり、表情を緩ませた。


「私はこの間まで遠征に出かけていてな、その後であの忌まわしきダンジョンを攻略する手はずだった。ダンジョン攻略こそが我が悲願のひとつでもあったのだ。それを父上が勝手に民間人に頼って……」


 王子の話を黙って聞きながら、話の雲行きが段々険しくなってくるのをあなたは感じていた。もしかして、これは自分の功績を祝福すると言う流れではないのかも知れない――あなたの心の中で危険を知らせる警報が鳴り響き始める。


「私の悲願を奪い去った者よ! お前の力がどれほどのものか我らが試してくれようぞ! 者共! 行けぇ!」


 カイル王子の号令と共に、護衛団の戦士達が一斉にあなたに向かって襲いかかってきた。多少腕に覚えのあるあなたでも、目の前の鍛えられた戦士達を相手にするのは流石に多勢に無勢だ。



 だからって逃げる訳にもいかない、ここは戦うしか!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886028099/episodes/1177354054886098832

 ヤバイよヤバイよ~! ここは逃げるが勝ちだぜっ!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886028099/episodes/1177354054886099011

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