◇最終節登場人物紹介

 【選ばれしものたち】


 ◇【教皇→×】サリヴァン・コネリウス・ライト

 通り名はサリー。

 陽王一族、アトラス王家一族、ライト辺境伯家の血筋を引く。

 陰王アイリーンの従者であり、神官であり、弟子。表向きは、杖専門店『銀蛇』の杖職人見習い。

 たぐいまれに強大な魔力と、鍛冶神の加護を持つ耐熱型魔術師。大きくて派手な魔法が得意。


 『魔の海』にて、もう一人の師であるエリカと再会し、さらなる鍛錬と、『第二の試練』における準備を整えた。

 エリカとは違うもう一人の始祖の魔女『アリス』の復活に立ち合い、師・エリカの過去に触れる。


 ヒース・ジジと別れて次期陽王となるか、その身の上を明かしたうえで『教皇』として旅に同行するかの選択を迫られるが、フェルヴィン皇国での戦いを経て得た『教皇』の称号をグウィンに譲渡して、いままでに培ってきた自らの技量だけで『選ばれしもの』たちの旅への同行を目指すことを決意した。


 婚約者であったヒース・クロックフォードに正式に求婚を果たし、晴れて恋人同士となる。






 ◇【運命の輪】ヒース・エリカ・クロックフォード

 サリーの二歳年上の幼馴染、親友、婚約者。新鋭気鋭の単独航海士。

 陰王アイリーンの養女であり孫。始祖の魔女・エリカ・クロックフォードの娘。


 魔の海にて、魔眼である『ホルスの眼』を開眼し、唯一の生きた保有者となる。死者である先祖の手を借り、過去にあった父母と自身の因縁を知った。

 サリヴァンの求婚を受け、長い片思いを成就させて、正式に婚約者となる。

 『運命の輪』の図案をもとにした、様々な効果の魔法陣を開発中。







 ◇【愚者】ジジ

 サリーの相棒で、子供の姿をした魔人。

 始祖の魔女により製作された世界最初の魔人であり、嬰児の細胞と、万物の材料である『混沌の泥』によって生まれた。

『魔の海』にて自身の出生についての記憶(メモリー)を取り戻し、盟友であるエリカに手を貸すことを約束する。

 現在、『サリヴァンとともにいる本体』のほかに、シオンとともに『魔法使いの国』の各地に散らばった『分身体』をもって暗躍している。






 ◇【星】アルヴィン・アトラス

 フェルヴィン皇国の末の皇子。14歳。

 産まれる前から『十五歳までに死ぬ』と『陰王』に預言されており、父王レイバーンに遠ざけられた。

 預言は成就し、魔術師に頭蓋骨を奪われて一度は命を落とすも、『ミケ』の本体である銅板の半分(に残っていた魔法の力)を使って、偶然にも魔人として蘇る。


 魔の海にて出会った『力』の選ばれしもの・龍人クロシュカに鍛えられ、龍の血に宿る星屑の炎を操れるようになる。

 エリカの指示で一足先に『魔法使いの国』へと旅立ち、サリヴァンの妹で、次期陽王候補の少女、ヴァイオレットと出会う。







 ◇【女教皇】アイリーン・クロックフォード(時空蛇)

 陰王であり、魔法の杖の専門店『銀蛇』の杖職人。

 サリヴァンとヒースの養母であり師匠。ヒースは血縁上、孫にあたる。

 かつて世界を創造し、終末の預言をして、『混沌の夜』の時代をエリカやアリスと駆け抜けた。

 時空蛇が人間と過ごすために創造した、子機のような存在。


『魔術師』らの正体を暴くため、冥界へと出張中。


 神々との盟約により、神である時空蛇の化身として『魔法使いの国』での試練には手が貸せないことになっている。






 ◇【隠者】アズマ・シオン

 アイリーンの夫。陰王の王配。ヒースの祖父で、養父。

 顔に大きな傷のある、ヒースとよく似た美男子。

 扉があれば場所と場所を距離を無視して移動することができる能力を持つ。

 サリヴァンの父フランクとは、同窓の親友。






 ◇【女帝】ヴェロニカ・アトラス

 32歳。グウィンの年子の妹。アルヴィン他、三人の弟の姉。淡い金髪に青銀の瞳。

 憂い顔の美女。身長218㎝。

 先祖返りの怪力を持つ。国一の武闘家であり、地質学者の一面もある。


 兄弟を置いて誰よりも早く国を脱出したことを悔い、責任感から兄グウィンから【皇帝】を簒奪して、【女帝】の選ばれしものとなった。

 語り部は英雄皇帝ジーン・アトラス付で、彼の旅行記を書いたダイアナ。






 ◇【皇帝→教皇】グウィン・アトラス

 フェルヴィン兄弟の長男。フェルヴィン皇国、アトラス皇帝。

 34歳。従軍経験と文系の博士号を持つ文武両道の男。暗い赤毛と銅色の瞳。眼鏡。

 フェルヴィン人としてもかなり大きい筋肉質な250㎝。責任感が強く、温和な性格。


 兄王の立場の重さを憂いた、妹ヴェロニカの奇襲により【皇帝】を奪われるも、サリヴァンから【教皇】を譲られ、ふたたび選ばれしものとなった。





 ◇【力】クロシュカ・エラバント(シニア)

 はるか昔から生きる龍人。角を折られ弱体化。現在は少女の姿をしている。

 龍はつがいによって性別を変えるため、【節制】のクロシュカ・エラバント博士の実父にあたる。

 専門は天文学。

 息子と共同研究した論文で、【世界の形】を暴いた。その功績はすでに轟き、歴史に刻まれている。






 ◇【節制】クロシュカ・エラバント

 シオンが上層で出会ったフンドシ鉄仮面の大男。

 その正体は、すでに歴史に名を刻まれた偉大な地質学者・クロシュカ・エラバント。

 ヴェロニカ皇女の元夫でもある。

 辺境の未開の地にて、呪いの鉄仮面をつけられ、身を護るものを身に付けられない=服を着ると弾け飛ぶ体になった。





 ◇【宇宙】ミケ

 アルヴィンの語り部だった魔人。

 アルヴィンを心から愛し、忠誠を誓うが、その愛情があだとなり『運命に介入してはならない』という誓約を破り、アルヴィンを救って魔人としての本体を喪っている。






 ◇【魔術師】

 前皇帝レイバーンとアルヴィンの命を奪い、冥界の扉を開いた、『古代の巫女』。






 ◇【吊られた男】黄金の子

 魔術師によって蘇った、『最初の人間』。

 神々に生み出され、神々によって生きながら灰にされた。神々とこの世界を深く恨んでいる。





 ◇【悪魔】アリス

 もう一人の【始祖の魔女】。ジジや語り部たちの材料になった嬰児の母親。

 過去最も強力に進化した『ホルスの眼』を持っていたが、子孫を残せないほど虚弱で、他者の体を奪うことで数十年を生き延びた。

 他者の脳を数多く掌握することで、未来視すらも可能とする。感染は視線だけでなく、血縁関係や、感染者どうしの交流によって広がることができる。

 一時は『混沌の夜』をエリカとともに共闘し、友情を育んだが、やがて配下たちの感情を許容できないほど操作していることがわかり、エリカ・ジジの手で討伐された。

 同じことをこの時代に来る前にも繰り返しており、『魔王』の異名を持つ。夢は世界征服。


 冥界に落ちたあとも虎視眈々とエリカやアイリーン、ヒースなどといった、神に連なる血筋のものの脳を狙っており、『魔の海』にてヒースの父の姿を偽装することで、一時は掌握に成功する。

 その手が現世へと届いたことで『悪魔』の選ばれしものとして命を得て復活。

『魔の海』で『吊られた男』とジーン・アトラスの手で救出され、『魔法使いの国』へと上陸した。


 エリカには変わらぬ強い友情と愛情を感じており、執着する。







【魔法使いの国の関係者】


 ◇エリカ・アイリーン・クロックフォード

 歴史に隠れた『始祖の魔女』本人。

 サリヴァンの師匠(せんせい)。ヒース・クロックフォードの実母。アイリーンとシオンの娘。

 『もしもの歴史』から『混沌の夜』の時代へと流れ着いた、『時空の遭難者』。

 混沌の夜を魔人となることで乗り切り、神々との交渉で『最後の審判』のシステムを作ることに成功する。

 のちにアリスの生んだ嬰児たちから、魔人ジジと語り部たちを製作した。

 預言を授ける宝『ホルスの眼』を所有し、『フェルヴィン皇国』『魔法使いの国』の建国に力を貸した。

 現在も人類存続のために尽力している。






 ◇ヴァイオレット・ライト

 サリヴァンの妹。14歳。サリヴァンとよく似ている。

 ライト家の次期当主としての教育を受けて育った。

 歴史上最年少の変身術の天才と名高く、鷹の姿に変身することができる。

 次期陽王候補として狙われ、逃亡生活を送るなかで、アルヴィンと出会って王都までの旅をともにする。






 ◇エドワルド・ロォエン

 魔法使いの国の政界の頂点である『陽の王』。信仰を象徴する『影の王』と対になり、人民の営みを象徴する。

 金髪に褐色の肌をした色男で、魔術と科学の融合を目指す現代的な王として支持されている。

 後継者として、サリヴァンとヴァイオレットを指名している。





 ◇オズワルド・ロォエン

 陽王オズワルドの弟。故人。

 兄の思想に反旗を翻し、『ラブリュス防衛線』と呼ばれる内乱のさなか、落馬が原因で死亡。






 ◇コネリウス・アトラス・ライト

 サリヴァンの曾祖父。廃嫡されたフェルヴィン皇国の元皇子。

 ジーンの双子の弟で、フェルヴィンの英雄として名高い。

 先々代のサマンサ領主、ローラに婿入りした。

 現在、孫のサマンサ領主の代理として、亡命してきたアトラス王家の兄弟たちと行動をともにしている。





 ◇フランク・ライト

 サリヴァンとヴァイオレットの父。

 サマンサ領主にして辺境伯。シオンの親友。

 眼鏡が特徴的な、温厚な人物。

 ヴァイオレットの旅立ちのあと姿を消し、変身術を駆使して暗躍している。





 ◇ミリアム・ライト

 サリヴァンとヴァイオレットの母。素朴で優しい人柄。

 前陽王の隠し子として生まれ、子爵家の養女として育った。

 田舎育ちのため、自分で作った野菜で料理をしたり、馬の世話をしたりするのが好き。

 変身魔術において免許皆伝の腕前を持つ。





 ◇ステラ・アイリス

 シオン・フランク・ミリアムたちの学生時代、上級生だった貴族子女。アイリーンと同窓。

 学生時代から、行動力と話術と人柄で人気があり、現在は若者たちに支持されるラジオDJとして活躍している。

 ピンクの髪、あちこちにつけたピアス、奇抜なメイクと派手なファッション。


 ライト家・クロックフォード家ともに卒業後も交流が続いており、ヴァイオレットの旅の手助けをする。







【語り部たち】


 ◇ダイアナ

 アトラス兄弟の長女ヴェロニカの語り部。先代の主は先々代皇帝ジーン・アトラス。

 ジーンの魂が蘇ったことにより構造(システム)に異常をきたし、いまだ目覚めることができないでいる。

 上品な老婆の姿をしているが、ジーンの時代では溌剌とした若い娘の姿をしていた。



 ◇ベルリオズ

 アトラス兄弟の長男であり、皇帝グウィンの語り部。

 剣を携えた老年の男性の姿をしている。



 ◇マリア

 アトラス兄弟の次男ケヴィンの語り部。

 ベールを被った妙齢の女性の姿をしている。無口。



 ◇トゥルーズ

 アトラス兄弟の三男ヒューゴの語り部。

 頬にソバカスのある若者の姿をしている。







【フェルヴィン皇国関係者】


 ◇ケヴィン・アトラス

 アトラス王家の第二皇子。

 肺に疾患があり、おもに故郷で父王に付いて宰相業務を行っていた。

 病弱。30歳。220㎝。細身。




 ◇ヒューゴ・アトラス

 アトラス王家の第三皇子。27歳。芸術家肌の伊達男。

 末弟のアルヴィンを溺愛し、姉と長兄に頭が上がらない。次兄のケヴィンとはよく衝突する。

 しなやかに筋肉が付いた身長221㎝。赤毛に灰色の瞳。よく髭を生やしている。




 ◇モニカ・アーレ(モニカ・アトラス)

 栗毛の小柄な女性。27歳。大牧場の娘。グウィンの妻。

 高学歴の才女。前向きで根性のある女性。




 ◇レイバーン・アトラス

 前代のフェルヴィン皇帝。グウィン、ヴェロニカ、ケヴィン、ヒューゴ、アルヴィンの父親。

 預言の通り、『息子より先に死ぬ』が、『息子の死を見届ける』こととなった。

 享年76歳。胸に生まれつき疾患を抱えていた。

 語り部の名はダッチェス。




 ◇コナン・ペロー

 皇国の外交官。第三皇子であるヒューゴの親友だったが、父が『魔術師』一派によって殺され、その立場を利用される。

 裏切者として断罪を望んだが、ヴェロニカによって延命され、皇国復興のために働くことを誓う。







【魔術師一派】



 ◇ジーン・アトラス

 前代フェルヴィン皇帝。冒険家。語り部ダイアナの元主。

 銀髪に赤錆の瞳。天使に例えられた美貌を持っていた。享年56歳。

 虚弱体質で短命を定められていた(原因は遺伝子異常による疾患と思われる)が、『二つの人生を持った』とも語られるほど、様々なことを成した人物。


 『魔術師』により、アルヴィンの頭蓋骨を依り代に復活。傀儡となる。

 故レイバーンの叔父で、双子の弟にライト家と婚姻したコネリウスを持つ。





 ◇黒い男

 半面に醜い傷跡がある美男子。冥界から蘇った死者。






 ◇赤い男

 赤毛の逞しい男。冥界にてジーンを鎖に繋いだ。冥界から蘇った死者。





 ◇アポリュオン

 蝗の王の異名を持つ怪物。

 冥界よりさらに深く、深淵の中にいたはずの『黙示録の天使』。





 ◇屍人使い

 外交大臣トーマ・ペローの皮を被り、死体を操ってサリヴァンたちを襲った男。羽飾りのついた帽子をかぶっていた。





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