第2話 スクラップ&ビルド
二日後、
「
「はいはい、まあパパッと行って、帰ってくればすぐでしょう」
それと、と凛子がもう一つ補足説明を始める。
「あなた達に渡した腕輪型のデジタル通信機は私との連絡以外にも様々な機能がある。説明はその都度表示されるから、覚える必要はない」
四人の手首には凛子から手渡された腕輪型の通信機が巻かれている。
それは位置情報も送信されるようになっており、何か不審な動きをした際は手に取るように分かる。
さすがに罪を犯した霊使いを何もなしで外に出すほど無警戒ではない。手枷というわけである。
いよいよ飛行機に乗り込もうと搭乗口をくぐった四人へ再び凛子が呼びかける。
まだ何かあるのかと気怠げな夜宵と残りの三名に向けて、
「あなた達がしたことは到底許されることじゃない。でも、今回はそれにも目を瞑る。私ではあの子を助けることができないから。だから、頼んだわ」
頭を下げる彼女に意表を突かれた四人であったが、何も言わずに飛行機へと乗り込んだ。
彼女達の長い旅が始まる。
二年前。
奇妙にも今は敵であった相川舞夜を助けに行くこととなっているが、夜宵以外の三名は彼女が行くと決断したことで連れてこられたこともあり、この旅が何かハッキリとは理解できない。
姫島夜宵:かつて相川舞夜と戦い、負けた少女。それ以降、霊の能力も弱体傾向にある。時間を三秒止めることができる『
黒川海莉:夜宵の恋人として、彼女と共に舞夜達に戦いを挑んだ。影や暗闇に潜り込み、影を変形させて攻撃ができる『ダイバーズブラック』を持つ。
如月諒花:夜宵の企みによって能力を持つこととなった少女。自身、または輸血パックなどの血を好きなものに変化させられる『
真宮博人:諒花やその他の人間の霊を目覚めさせた少年。彼が起こした行動によって生まれる可能性を真実に置き換える『プロミス』を持つ。
「姫が了承しなくちゃ、私も行くつもりはありませんでした」
隣に座る海莉が窓の外を眺めて言った。
「何か脅されでもしたんですか?」
「脅しというか、挑発に乗った私が馬鹿だったという訳ね。ま、これが終わればあそこから出て行ける。そうしたら、私と二人で暮らしましょう」
薄く笑ってみせる夜宵に対して、海莉はあまり良い反応を示さなかったのだが、それ以上追求することはしなかった。
二人の後ろの席には諒花と博人が座っている。
諒花もまた夜宵と同じ高校のクラスメイトであり、博人は一つ下の後輩である。
窓の外を眺めている彼に対して、彼女が声をかける。
「あんたはこの意味の分からない旅が終わったらどうすんの?」
「僕は何も考えてません。今やることをやるだけ。そうやって生きてきましたし」
諒花の霊『血まみれメアリー』を目覚めさせたのは博人であり、彼のせいで諒花は今こんな場所にいる言とってもおかしくはない。
しかし、博人もまた夜宵に命じられて力を目覚めさせたのだ。クラスメイトというぐらいの関係であった諒花に夜宵が霊の力を目覚めさせた理由であるが、まだハッキリと聞いたことはない。
そのことに対し、諒花に何も思わないのかと質問する博人であった。
「そりゃ、あそこに捕まった時は思ったわ。でも、私はこの力をもらって夜宵に従って動いたことは事実。そこは私の決断なんだから、あんたがとか夜宵がどうとか思わないわよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます