第6話 エピローグ
空はどんより曇り、雨が降っている。
ホノルルにあるレストランの個室に入ってくる中年の男。
「葛城博長官。本当に来てくれたのね」
黒人の中年女性は笑みを浮かべた。
「ジョコンダ議員」
博は席に座った。
「なんでしょうか?」
ジョコンダはワインをひと口飲んだ。
「あなたはダナエと取引をしましたね。実際に交渉したのは君の部下だが」
博はゼクの写真と黒人の男性秘書の写真を出した。
「証拠はないでしょう」
しゃらっと言うジョコンダ。
「そればかりでなくダナエを周主席やスレイグ大統領と引き合わせた。そして田宮というスパイを入れる手引きをして那賀根知事を中国のトリコにした」
USBメモリを見せる博。
笑顔が消えるジョコンダ。
「中国のスパイや協力者、手引きした者のリストが入っている」
タブレットPCを見せる博。
動画にはダナエ、田宮議員、大物議員と楽しくしゃべる姿が映っている。
手を引っ込める博。
何もなかったように身なりを整えるジョコンダ。
「世界の政府機関は君をブラックリストに載せている。米軍はアテにならないからアジア有志連合ができた。スレイグが大統領になったが肝心の政策は進んでいない。あなたも彼も時空侵略者に興味があり、ついに接触した。そして宝石や古代遺物をもらって彼は満足している。彼は若い頃、魔術師協会やハンター協会を破門され違法ハンターになり、遺跡荒らしをしていた。だからものすごい興味を持っていた。彼もあなたも時空管理局は監視していますよ」
博は新聞記事を見せた。
それは未来の架空新聞記事である。時空管理局にスレイグと一緒に彼女も捕まるという記事だった。
「それはあくまでも架空記事よ」
ジョコンダが声を低める。
「そうだがカメレオンクイーンや時空侵略者はかならず裏切る。時空侵略者に入られた国家や取引した者達の末路は滅亡か刑務所になる。これまでの歴史が物語っている」
博はいくつかの歴史書を見せる。
日露戦争のロシア帝国はロシア革命により滅亡してソ連になり、第二次世界大戦のナチスドイツは連合国に攻め込まれ壊滅してヒトラーは自殺。三国同盟に入っていたイタリアも日本も敗戦。広島と長崎に原爆を投下され無条件降伏を受け入れて長らくGHQに占領されていた。
しぶしぶ受け取るジョコンダ。
「中国軍とダナエに空飛ぶ空母やレールガン、高出力レーザー砲をわざともらしたね。それもエリア51に来ているエイリアンからもらった物をわざと渡した」
博は大型コンテナ船と大型タンカーの写真や三隻の空飛ぶ空母をの写真を出した。
歯切りするジョコンダ。
「那賀根知事に罪をきせてその上、新宿のビルのオーナーも騙した。詐欺師ですね」
博ははっきり言う。
「証拠は?」
ムッとするジョコンダ。
「ないがね。いずれは捕まる」
博ははっきり言う。
「そうかしら」
自信たっぷりに言うジョコンダ。
「三十一世紀の時空管理局は君やスレイグを監視対象にしている。そして時間協定に違反していて、君と接触したエリア51のエイリアンは刑務所行きになった。我々時空監視所はいずれは君を逮捕して警察に引き渡すだろうね。そして時空管理局が連行しに来れば刑務所行きになる。時空侵略者との取引はやめる事だ」
博は珈琲を飲むと席を立つ。
ムッとした顔のジョコンダ。
「地球外では異星人の特命チームが活動している。エリア51にくるエイリアンから聞いていますか?」」
博は話を切り替える。
「聞いていない」
首を振るジョコンダ。
「ダナエの一族の中には地球外で虐殺と破壊を繰り返している連中がいる。だから異星人や未来からやってきた戦士、宇宙船のミュータントで構成されるチームが結成されている。いずれ地球にも来るだろう」
博は声を低める。
歯切りするジョコンダ。
「我々は見逃さないとね」
博はそう言うと退室した。
海上保安官 三神&朝倉2 日中激突と時空の王錫 ペンネーム梨圭 @natukaze12
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