第3話🌙両親の話

久しぶりに、有給消化のために実家へ帰省した。と言っても、都内なので電車で1時間かそこらである。


帰省すると、必ず結婚の話や孫の話になるのでうんざりだ。

2日滞在で、その後は友人と小旅行のつもりである。

なので、多少の小言は旅行で忘れようと思い、大人しく聞いていた。


私の母は、全ての動物が可愛くて仕方なく、動物の肉を食べるなんて信じられない!というほどのベジタリアンである。

これが中途半端な優しさで、とかなら良かったのだが、本気なものだから肉が好きな私は大変困る。

※卵などは孵化していないのでいいらしい。


実家は肉や魚が一切でないので、給食で肉が出た日は大喜びしたものだ。


父は、叔母さんの弟ということで、どこか抜けている。

眼鏡をかけながら眼鏡を探す、塩と砂糖を間違えて使う(料理が趣味)、テレビのリモコンと家の子機を間違えるなどなど、父のうっかり集は叔母さんとどっこいどっこいである。

父は大学の教授で、そちらでも、うっかり先生として親しまれていると、本人から誇らしげに教えられた。


私はというと、自分で言うのはなんだが、これ以上ないくらい素直だと思う。そして、うっかり屋だ。こればっかりはやっぱり遺伝だと思いたい。


叔母さんが、小学生の私に言ったことを今でも覚えている。


「ゆきちゃんは、私と同じね。」


どう言う意味なのか。褒められている気がしなかったが、貶されているわけでもないと思ったので微妙な顔をした。

すると叔母さんは、


「手足に気をつけなさいね。転んじゃうわよ。」


とだけ言って、手を引いてくれた。

もともと、足が何かに躓きやすいタチで、転んで怪我をすることが多かった。

それを言われたのだろうか?でも、それなら何故『手』も入るのか。


『手』は、奇跡的にまだ怪我をしたことがない。叔母さんの言葉は当たるので、十分に気をつけようと思う。



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月に住んでた魔女 水分活性 @nagare_4696

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