アトエニヨン
安良巻祐介
某有名魔術学校の四つに分かたれた学生寮に、いつの間にかアトエニヨンという名前の五つ目の寮が加わっており、作中の登場人物たちも何か違和感を抱いてはいるものの、それを上手く言語化できないまま物語が進んで行く…という、期間限定・特別仕様のシリーズを続けて視聴した。
観ているこっちとしても尻の据わりが悪く、何だか口の中に異物があるまま呑みこめも吐き出せもしないといった感じである。
何より嫌なのが、その新たな寮というのが、寮のくせに作中の点数争いにまったく絡んでこないどころか、そこに所属する生徒たちが一向に現れない事で、確かに五つ目の寮は存在するのに、まるで開かずの間のごとくに腫れ物扱いをされている。
そして、物語が進むにつれて、その寮があるとされる棟から、ものの腐ったような匂いが少しずつ漂い始めるのである。
匂いはどんどんひどくなり、スクリーンの中の登場人物たちにとってもそれは耐え難いようであったが、誰もかれもが涙目になって吐き気を我慢しながら、本来の通りの台詞を無理して喋っており、相変わらずかの寮について全く触れないまま話は佳境に近づいて行って、このままだと恐らく物語が大団円を迎えるあたりで、何か恐ろしい事が起こるのではないかと思われた。
アトエニヨン 安良巻祐介 @aramaki88
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