5話・大和の旧友

 満月がようやく西の方角に傾き始めた時間帯。

 横になってから2時間しか経過していないのに、大和は小雪を抱っこして、町の中心にある駅前まで移動していた。


 駅をぐるりと一周する度に、大和は駅前にある案内図を見ながら首を傾げる。

 駅の内部に通じるであろう場所は瓦礫で埋め尽くされ、侵入することができなさそうだが、それは自然に壊れたというよりも、人為的に破壊され、瓦礫が積み上げられ、固められた痕跡があった。


 大和は、これ以上周辺を調べても意味がないと判断したのか、小雪が起きないように、音を立てないようにして瓦礫を崩し始めた。


 それから1時間近く経過したところで、大和は突如手を止め、長刀を抜くと同時に振り返った瞬間――2本の刀身が大和の長刀と重なり、コインを落としたかのような高音が周囲に響く。


 大和に攻撃を防がれた二刀流の青年は、すかさず斬りかかろうとするが、刃が重なる直前で動きを止めて、大和の顔をじっと見つめ、突然頬を緩ませる。


「その刀。そのピアス。お前……大和か?」

「……5年ぶりだな。光一」


 光一と大和は同時に刀を納めると、静かに握り拳を合わせる。

 2メートルはあろう長刀を担ぐ大和に対して、光一は1メートルにも満たない短い刀を2本腰に携え、武器として使っているのは正反対だが、光一の左耳には大和と似たような形状の赤いピアスが煌めている。

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