5=みんなのおうち。
「……せ」
「せ?」
「僕を日本に帰せぇっ!」
「うわっ!?」
僕は赤ん坊のように地面を転がって、駄々をこねる。
「やだやだやだやだぁ! おうち帰るぅうううううう!」
もうやってられるか!
誰でもいいから早く何とかしてくれ!
「おうちぃいいい!」
「何だ、こいつ……」
「確かに。これは引きますね……」
「じゃなくて」
「はい?」
「何ひとりで遊んでんだよ。オレサマもやるゼ」
ヒスイという少女が僕の横でさらに駄々をこねる。
「ママーッ! アウッ! アウッ! おっぱい!」
「なるほど……この地獄。私に死ねというのですね」
リーマはそれを見て、差したカタナを抜く。
そして、自分の首に光る刃を当てた。
「後は頼みました」
「いや、何でだよ!? 初対面だよ! 赤の他人だよ!」
「ふふ……ヒスイさまへの餌やり、ちゃんとやるのですよ?」
「知らねえよ!!」
驚愕する僕に、ヒスイが着物をはだけさせ、お腹を向ける。
白く透き通る柔肌……。
「アウーンッ……!」
「ステイッ!」
僕の号令で、ヒスイは膝を折り曲げ、その場に“お座り”した。
どこまでバカなんだ、この娘!?
「まあ、バカシラさまの破廉恥は置いといて」
「ハレンチ……? 食えるのそれ?」
「……置いといて」
ぽけーっとした顔でお座りしたまま、ヒスイがリーマに尋ねるが、リーマは慣れた様子でそれを無視した。
僕の顔をじーっと見て、それから彼女は尋ねる。
「ニフォン人さん……?」
「はい……日本人です」
「あなた、どうやってここへ来たのですか?」
「いや、それを知りたいのは僕の方で……というか、君達がここに連れてきたんじゃないの?」
殺され、拉致られ、気付いたらこの女の子二人組に囲まれていた。
普通に考えれば、僕を拉致った実行犯はこの二人である。
「連れてくるも何も……」
リーマとヒスイは顔を見合わせる。
「私たち、この洞窟に捕らえられているのですが」
「はい?」
「連れて来ようがありません。外に出られないので」
「んで、逃げようと洞窟内を探索してたら、オメーサマみたいな食い倒れを見つけてよ。ビックリしたゼ!」
「それを言うなら行き倒れです。バカシラさまの駄犬」
「あうっ!」
異世界に男がボク一人!? 女性恐怖症なのに、ハーレムなんて要りません! 松葉たけのこ @milli1984
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