4=主人公、チェンジで。


 一つの可能性が思い浮かんだので、僕は吐いてしまった。

 男って何?――それはどういう意味なのか。

男がこの“国”にはいないなんて事はないよな?


 「大丈夫か? もしかして、お前もバカになっちゃったのか!?」

 「大丈夫です。あなた以上のおバカはこの国にいません」


 ちょっと待って欲しい。

 ちょっと待ってください!

状況を整理させてください!

男って何?

このセリフが本気な訳がない。あっそうか!


 「ハハハ! ヒスイさんは冗談が上手いですね!」

 「? オレサマ、なにか面白いこと言ったか?」

 「まあ、バカシラは存在が冗談みたいなところありますし」

 「ふはっはっはー! ダロ? オレサマ、冗談みたいに強いからな!」

 「……会話って言葉わかります?」


 僕は両手を振って、二人の百合百合コントを止める。


 「いや、“男って何だ?” って冗談なんですよね?」

 「ほえぇ……そんな冗談があるなんて、オレサマ知らなかったぜ。世界は広いな」

 「じゃなくて! 男ですよ! 下半身にソーセージぶら下げてる人たち! 知らないんですか?!」

 「知るわけないじゃん。そんなもん“存在しねーもん”」

 「存在しないって……」

 「リーマは聞いたことあっか?」

 「初耳ですね。まだ発見されてない伝説生物的な何かでしょうか?」


 この一連を持って、僕の思考回路は溶けた。

 ドロドロだ。ドロドロのマルク・マリー・ドロ。

 頭の中に満天の星空が広がる。


 確定だ。

 男が存在しない。女だけの国。

この場所はそういうところのようだ。


 「勘弁してよ……」


 一度殺されて、こんな知らない異世界に拉致られて。

 おまけにこれか!


 僕は女性恐怖症なんだぞ……。

 そういうのは、ラノベ的転生ハーレム主人公の役目のはずだろ!

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