57.魔法科高校の劣等生 感想

 2014年にアニメ化された人気作品です。


 2008年からなろうで連載がスタートしたこの作品。2011年にWeb版が消されるまでぶっちぎりの累計の一位だったそうです。それから電撃文庫に拾い上げされて書籍化しました。


 今でこそなろうから書籍化というのは当たり前になっていますが、実はこの作品以前には、なろうの作品が既存の出版社にスカウトされてデビュー、というパターンは『ログ・ホライズン』などの例を除けばあまり無かったそうです。


 俺TUEEEEの代表作として批判されているのもよく見ますが、売上800万部を突破し、このラノ文庫本部門では、新作でないにもかかわらず18位、主人公・司波達也は人気キャラランキングで4位になるなど、ファンには根強い人気があります。まさに人気と批判は隣り合わせと言えるでしょう。


◆タイトル『魔法科高校の劣等生』

◆作者 佐藤勤

◆イラスト 石田可奈

◆レーベル 電撃文庫

◆発売日 2011/07/08


◆感想


 魔法が伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術となってから一世紀が経とうとしていた。


 そして、国立魔法大学付属第一高校―通称『魔法科高校』に、一組の血の繋がった兄妹が入学する。


 兄は、ある欠陥を抱える劣等生。妹は、全てが完全無欠な優等生。


 二人がこのエリート校の門をくぐったときから、平穏だった学びの園で、波乱の日々が幕開いた――というお話。


 初見ですが、Web上での評判だけは聞いていたので、どうせチートだろ、俺TUEEEEだろ……と思い読み始めたのですが、読む前のイメージと違ってかなり世界観や魔法に関する設定が緻密で作り込まれた物語でびっくりしました。


 魔法の理論がめっちゃ細かくて、まるでプログラム。超能力の延長で魔法が出来たという設定なので、SFに極めて近く、ファンタジーと言うよりは現代異能バトルものみたいだと感じました。


 でも設定が細かく独自用語もわんさか出てくるにも関わらず、非常に読みやすいです。


 読みやすい、といってもなろう小説にありがちな描写スカスカで「どかーん」「バキッ!」「キンキンキン!」って感じの読みやすさではなく、むしろ最近のなろう小説よりもかなり文章はしっかりしているように感じました。


 謎めいたお兄様、司馬達也の力が徐々に明かされたり、学園を狙う組織が明らかになったりと目が離せない展開。夢中になってページをめくってしまいました。


 妹とのアブナイ関係もハラハラ……というかお兄様普通に格好良いじゃん。何でこんなにdisられてるんだ?? と不思議に思いました。


 おそらく三人称で淡々と進むから主人公に感情移入しにくいせいなのかなー。私は結構好きですけど。


 でも表紙だとすごいイケメンなのに本文読むとフツメン設定でそれは無いんじゃないかと思ったり!笑


 Web小説に偏見を持っている人にこそ読んでほしい、そんな作品です。



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