書評12.形式こそが作品である


しばらく更新が止まっていた理由はワールドカップのせいではなくてですね(それもまったく無いわけではないですが)、主に以下の2つの理由によります。

① 本家であるブログの更新をしていた。

② 読んでみて「書きたい」と思った作品の書評はあらかた書いてしまった。


①について。

ブログはこちら⇒(https://theone-strong.com/)になりますので、よかったら見ていってほしいのですが、「全然、記事更新されとらんやんけ」と思われるかもしれません。

しかしここ数日、清水翔太の『FLY』全曲ソウルレビューのインデックスページを作っていたのです。

記事自体は書き終えていたのですけど、見やすいように一覧化しておきたいと思いまして、インデックスを作っていました。

「見やすい」というのがポイントです。

インデックスに合わせて、全ページに共通のフッターを手で付けたりしていたので、結局4時間ぐらいそんな作業していたと思います。


ちなみに私がつくったこんなサイト⇒(https://akiya-iggy-igeta.net/)もあるので、よかったら見ていってくださいね。

こちらは友人の旅人兼フォトグラファーのウェブサイトを、私がつくりました。

「綺麗で、見やすい」、そんなシンプルさを目指しました。

ウェブサイトなので、整っていて見やすいものがいいです。

記事や、写真の中身と同じぐらい、それが大事です。

(せっかくの友だちの写真なんで、写真も、程度に見てやってください ←ひどい)


②について

「けっこう書いたな」と思うのですが、しかし私は宣言してしまっているのですね。

「平均して、一日一作品以上の書評は書きます」と。

自主企画ではたしか2週間ぐらいの募集期間だったと思うので、最低でも14作品は書かなければいけない。

本当はまた自主企画を立てて、次の作品を募集したいのです。

もっと読んで、もっと書きたい。

しかし、宣言通りのところまではやらねば、次に行けない。

ということで、コメントなどで積極的に「書いてください」と声かけしてくれた方の作品を取り上げようかと思います。



第一回の書評でも書きましたが、小説のプロットだとかキャラも大事だけど、それと同じぐらい大事なのは文章だと思います。

表現が、作品にふさわしいものでなければ、主題もキャラの魅力も生きません。

ブログの記事や写真がよくできていても、サイトの構成が粗雑だったら見る気が失せるのと同じように。

プロットや世界設定やキャラと同じぐらい、文章の整理にも気を配ったほうがよいと思います

前回の書評に続いて、今回の作品も、読んでいてたくさんつまづいてしまいました。



書評12.『魔法少女だった俺はとりあえず学園のトップを目指すことにする』 作者 凱蘭

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885604802


面白い仕掛けをたくさんほどこしてくれているのだとは思うが、そこまでたどり着けないのが残念だ。

ユニークな表現や文章は、それはそれで面白いのだけど、作品の理解の妨げになってしまうのは残念。

それを超えてくる、すさまじい設定だとか展開があればまだいいのだろうけれど。

2話(第2法)までの間で、気になってしまったところを以下に挙げる。


第1法

◆冒頭に出てくる「猶予決断」という言葉の意味が分からない。

・「どれだけの猶予を与えるかを決断した」

・「猶予をしばらく与えていたが、ついに決断した」

どちらかなのだろうと思うが、どちらなのだろう。


◆ ――そういう訳で彩翔は蒼竜学園への転入が決まった。

の描写いる?」と思ってしまった。

「え、今の会話なに?!いる?!」みたいな驚き。

「学園の選択は、彩翔がふだんから慕っているじいに一任した」とか書いておけばよかったのではないか。


◆「プンスカしながら出ていった結愛は柄にもなくまどろっこしい。」

「柄にもなくまどろっこしい」って、何だ?


◆「窓をちらと見ると外は晴れていた。なぜか、晴れ男のようだ。いつもは違うのに。」

のなら、「晴れ男」とは言わないのでは。

「雨男」だけど、その日はたまたま晴れていたというだけだろう。(「曇り男」とか中途半端なこと言う奴はビミョーだと私は思う)

それ以前に「何男」とかいう表現がここで必要なのだろうか。


◆「思考に耽りたくなる衝動を押さえながら沈痛な顔立ちで答えた。」

急にシリアスだ。

熟語が多いから、重々しいのでは。

「良い日常(←この表現もどうかと思うが。日常の良し悪しの評価とは。)」の朝食風景なのに。


◆蒼竜学園の外見、一言で表すならでかい。並の高校より5回りぐらい大きいだろう。補足をすると、学園自体が明るい藍色になっている。

 「で、でけぇな……ここで俺の新生活が始まるのか」

  ここから、彩翔の生活は始まる。

まず「一言で表した」その表現が「小並感」。

しかも同じこと何度も言い過ぎではないか。

・「一言で表すならでかい。」「で、でけぇな」

・「ここで俺の新生活が始まるのか」「ここから、彩翔の生活は始まる。」

」。←これは何だろう。あとで何か関係あるのかもしれないが、急にこれだけ聞くと面白い。


第2法

◆続いては職員室に向かう。

 職員室の中は涼しげで、だが忙しくもあった。

 彩翔は手短な先生に主旨を伝え目的の人物に歩みを寄せた――。

 先ほどのことも考えながら。

 ――校門の前でぶつかった人はすぐに女性と分かった。

この書き方、「校門でぶつかった人物」に歩みを寄せたのかと思いきや、違うらしい。

実際には、誰に歩みを寄せたのか、「目的の人物」が誰だったのかわからない。


◆勝手な推測をするならば座右の銘は確実に『俺の体は筋肉でできている』だと思う。

なんともハチャメチャな座右の銘。


◆一先ず愚昧な醜態を晒さぬよう心密かに決意する彩翔であった。

「愚昧な醜態」って、「馬から落馬」とか「頭痛が痛い」みたいだと思う。


◆始めが肝心、核なので前の男子が友好的であることを願う。

「肝心」の補強として「核」という単語を持ってくるのは初めて見た。

普通は「要(かなめ)」だと思う。


◆数多なダメージがでかいが直ぐに立て直し今度話しかける決心をした。

「数多なダメージ」って何だ。

種類の異なる複数のダメージを一度に受けた、ということか。

「今度話しかける決心」って、それは何も決心していなくて、ただ先送りしただけでは。


◆正直、来たばかりでまだまだ雛鳥同然なのでありがたい。

 彩翔は校内のことを考えながらも、一番に雛のことを考えながら授業に臨んだ。

 なぜ考えるかは、やはり今朝ぶつかった人こそが雛だからだろう。

ややこしい。

なぜこの位置に、わざわざ入れなくてもいい「雛鳥」という比喩を入れたのだろう。(ちなみに「雛」はここで初めてヒロインであることが明かされる少女の名前。)

そもそも「なぜ考えるかは、やはり今朝ぶつかった人こそが雛だからだろう。」という表現自体が、とても回りくどくてわかりづらいのに。

そんなところに、わざわざ「雛鳥」という、文脈と関係ないややこしい比喩を入れるというハードモードな文章。



なんだか書いているうちにどんどん楽しくなってきてしまったが、以上の部分で私はつまづいてしまった。

(作者の意図がどこにあるかとは無関係に、つまづいてしまったということだ)

要は文章が、ストーリーやキャラと一致していないように思える。

ハチャメチャな文章でありつつ、なんだか熟語の多い堅苦しさもあるし、全体的にはけっこうシリアスな調子で進んでいく。

文章を読み解くのに何度もひっかかるだけでなく、どのテンションで読めばいいのかもつかみきれない。

「どうも美しくないな」と、私は思った。



書評12.『魔法少女だった俺はとりあえず学園のトップを目指すことにする』 作者 凱蘭

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885604802

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