緋色の幻影


お酒に弱い僕は、少しのお酒で顔が真赤になる。


その日も僕は、真赤な顔で君の前に立っていた。

周りの男達は、一次会の酔いが回って、もうベロンベロンである。

ほとんどの女の子が『置きにいく』中で飄々と飲み続ける紅一点の君に、こう言ってんのは覚えている。

「勝負だ。必ず君を酔い潰してやる。」


2時間後、僕は完全に出来上がっていた。

『完成品』を前に、君は微笑む。


「顔、真赤だよ?」

「酒に交われば赤くなる!!!」

「まだやるの?赤すぎて心配になる」

「赤いは酒の咎!!!!」


赤子の手をひねるごとく、簡単に潰された僕の意識は、ここまで。こっから先は、妄想・幻影の類と捉えていただいても一向に構わない。

どこからどこまで信じるかは、貴方次第である。


「赤ちゃんみたいだね」

気がつくと君の膝枕で横になっている。

「もうあかん…。負けた相手に世話されるなんて」

「赤の他人じゃないんだから」


「……そういえば」

「ん?」

「いや、やっぱいいや」

「何ぞ!言え!!!」

「…あんた、あたしのこと好きやった?」

「………そうかもね」

「顔、真赤だよ」

「お酒のせい」


真赤な嘘である。


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よりどりみどりないろどり ブラッド・キット @BradKitt

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