深遠で純真な白

「来週、仕事でそっちに行くんだ。呑みにいこうよ。」

『いいわよ。』


大学をサボってまで向かう先は東。

二つ返事で決まったサシ呑み。


彼女とあったら、どんな話をしよう。

山ほど話したいことがあった。はずなのに。


いざ、彼女を前にすると、頭の中は大洪水。喉の奥は大渋滞。オレが先だ。オマエは後だ。

話したいことが目白押しで、思考は真っ白。


言いたいことの半分も言えず、彼女とお別れの時間。場は少し白け気味。


それでも、彼女は笑顔で「じゃあね」と手を振る。

ここで呼び止めることも出来ない自分の甲斐性の無さに嫌気がさす。

もう一人の自分が、白い目で僕をみている。


白紙に戻そう。

3日間、思い悩んだ僕が出した結論だった。


「この前は、ゴメン。もっと話したいことがあるんだ。また今度、もう一度チャンスをくれないか?」


彼女は僕の白々しい考えなどお見通しなのだろうが、白を切る。

『分かったわ。今度だけよ。』


この話のオチは3つ。

今度こそ僕は、落ち着かなければならいこと。

僕はきっと恋に落ちたということ。

そして、大学の単位を見事に落としたということ。

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