第17話モンスタースキラー

俺は力なく横たわる自分の下半身を見ていた。


綺麗な切り口でスッパリと切り裂かれた下半身は驚くことに血すら出ていないその光景を見て青ざめているアレンの姿も見えた。




俺を切り裂いたあの女性は刀を肩に乗せて、仁王立ちをしている。またさっきの一撃がきたら今度こそアレンも俺と同じように殺されてしまう俺はまだ死んではいないこのままじゃ死ねない




「アレン…逃げろ…」




俺の振り絞る声をアレンは聞こえないのか涙を流しながらそこから動こうとしない。速く逃げてくれ!お前まで死んでしまう!俺を置いて逃げろ!




さっきまで俺を置いて逃げようとしていたアレンはこんなときに限って動こうとしないいや、恐怖で動けないのだろう一瞬の内に目の前で俺が殺されたのだから俺もスライムの件はアレンも道連れにしようと思っていたがこうゆう状況になると話は別だ。




道連れになるな、走れ!アレン!と俺は心のなかで叫んだ。




すると、ドサッ!と何かが倒れるような音が後ろから聞こえてきた。




俺は手を使って這いつくばってその方を見た。


そこにはあの黒い鎧を着た女性が倒れていたまわりには誰もいないその女性はなぜか不思議なことに倒れてしまった。




一体どうしたんだ?なんで倒れたんだあの人は?だが好都合だ今の内に逃げれる!




「アレン…行け!…」




俺はそう言うとアレンは俺に近づいてきて俺の腕を掴み、肩にまわして俺を連れて歩いた。




「なにしてんだよ…置いてけよ…邪魔だろ?」




「置いてくなんて出来ないよ僕は君を連れて街に帰るよ」




「そんな事しても…無駄だ俺は…死ぬんだよ!」




こんな状態で俺に生きる選択肢なんてないさすがにあのシスターの治癒魔法でもこの状態を治せるほどではないだろう自分の事は自分がよく分かるこのまま置いていってくれよ




「何を言ってるのか分からないな君はまだ死んでないだろ!」




アレンはそう叫び、俺を引っ張って歩く、俺も歩こうとしてみるが下半身は別の場所で足を動かしているだけだった。








ん?あれ?なんで足を動かそうとすると切り離された足が動くんだ?足は動かそうとすればするほどバタバタと動いている。




「なあ、アレンあれ見ろ」




俺は自分が動かしている切り離された足を指差した。


アレンはそれを見た後、口を開けて唖然とした表情でそれを見ていた。そして、俺の身体をその動いている下半身の方に向かって投げ飛ばして、




「うっわっ!?気持ち悪っ!?」




「ちょっおまえってうわぁぁぁぁぁ!」






アレンが背負い投げの用量で投げ飛ばした俺の身体は下半身の近くまで投げ飛ばされた。




俺はまさかと思い、両手で下半身を持って切り口を重ねてみると真っ二つにされた身体は綺麗にくっついて元通りになった。




俺は自分の足で立ち上がり、アレンに駆け寄った。




「おい、アレン!なんか俺、復活したみたいだ!」




「寄るな!化け物!」




アレンは駆け寄る俺を全力で逃げていく、泣きながら必死で逃げていくまるで化け物に追われているように


逃げるなよ!死にそうだった奴が奇跡の生還を果たしたんだぞ!ここは喜んでくれよ!




「待てって何もしないからあと化け物は止めてくれ!」




「うわぁぁぁぁぁ!」




アレンは叫びながら走っていくが途中で転んでしまい、倒れていた。アレンは立ち上がれず地面を這ってゆっくりと俺から逃げていく




「逃げるなよアレン酷いなぁ」




アレンは振り向いて、俺をじっと見た後、




「君、何をしたんだい?なんで死んでないんだ?」




と問いかけてきたが正直言うとその事は俺にも分からないただ試してみたらくっついて元通りになったという事実しか俺には分からない




「分かんねぇなんかくっついた」




俺は頭の後ろを掻きながら首を振って答えた。




「もしかしてさっきのスライム倒した?」




アレンは地面に座ったまま俺に聞いてきた。




「ああ、焼き殺したな」




「そうかじゃあそれはスライムのスキルか!」




アレンは納得したように手を叩いた後、立ち上がった。


スライムのスキル?ああ、そうだ色々とあって忘れていたが俺の職業はモンスタースキラー倒したモンスターの固有スキルを覚える事が出来るマイナー職だ!




「え~っとつまりどういうことだ?」




「つまり、君はスライムを倒してスライムのスキル『スライムボディ』を手に入れたんだ『スライムボディ』は物理攻撃が効かないからさっきの斬撃も切られただけでなんのダメージもなかったんだよ」




そういえばさっきのアレンのビンタも痛みは感じなかったし、切られても痛みはなかったでも真っ二つにされた事によって俺は死んだと思い、精神的なダメージは受けたようだ。




それで俺の言葉は弱々しかったのだろうと思った。


危ない、危ないスライムを倒さなかったら死んでたよでもこれが俺の新しい力、これでようやくモンスタースキラーっぽくなってきたぜ!




「なんか強くなった気がするぜ!」




「まあ、でも村人ステータスから最弱モンスターのスライムステータスに変わっただけなんだけどね」




「はぁ?嘘だろ!あれが最弱!?」




あの手強いスライムが最弱モンスターだなんて信じられないこの異世界はどんだけハードなんだよ!




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職業はなんですか?マイナー職なんですが分かりますか? 湖猫 @amemiyasusugi2018

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