第96話 接触
闘技場には四騎の
その姿は神々しさすら感じる程だ。
その場に居合わせた者達は一様に言葉を飲み込み、ただ沈黙しその姿を眺めていた。
その静寂を切裂くかのように、場内へと高らかに声が響く!
「お待たせ申した! 」
反対側の入場門へと視線を向けると、何も無い空間へと陽炎が立つ!
次の瞬間、手品の様に一騎の神騎が現れた。
あれが、
その姿を目にした者は殆ど居ないのだから分からぬのも無理は無い。
だが、ゲオルグとアイギスは違った。 以前に一度だけ目にする機会があったのだ。
その姿は紛れも無く、
一瞬姿を晒すも、すぐさまマントの様な物を展開し、その姿を覆い隠してしまう。
そうする事に、どの様な意味があるのか伺い知る事は出来ない。 しかし、その行為を止める事も無為に思えた。
何時の間に現れたのか、その足元には人影があった。
「(…… あの装束は!? )」
ノリトは数瞬前に己が中に芽生えた…… いや、
ゲオルグが
『御主が、オットー・
皆の視線が集まる中、堂々と姿を見せた者へとゲオルグが問いかける。
その者の装束はこの世界では見る事の無い物であり、この世界の文献には記録されてはいなかった。
はじめて見る異国? の装束に戸惑いはあるが、今はその疑問を口にする者は誰一人として居はしなかった。
「(ミオ、あの装束をどう見る? )」
「(あれって…… どう見ても…… そうよね )」
「(忍び装束。 同郷か? )」
「如何にも。 お初にお目にかかる。 アスガルド王国 ゲオルグ・ノリス・ヴィルヘルム 国王陛下。
『
我の方こそ其方の力を借り受けたいのだ。
全てが謎である。 その
皆はゲオルグと
「何が起き、そして何処へと向かっているのか……
無き君主も、それを気にされておりました。
この十年余りの歳月を、
全ては、何により起こり、何処へと向かっているのか…… その事由とは何か。
だが、
『
「……如何にも。 真の目的は他者へは告げてはおらぬのです。 開戦当時、二国の併呑を餌に踊らされた者達が数多く居たのですが、その者達は戦後に粛清されこの世にはおりません。
今は、
『侵攻だと! 戦の準備をしておるのか!? 』
皆はその言葉に息を呑む。
「……残念ながら。
それに
その様な事から、先日親書をお送り申し上げたのです 」
◇ ◇ ◇ ◇
その遣り取りの間、ノリトは周りに潜む者達に違和感を見つけた。
5人の内の一人は、今現在目の前に居る。
残る人数は4人だが…… 一人の動きが余りにも不自然であった。 と言うよりも明らかに怪しい。
ミオとジークへも指示を飛ばし、警戒レベルをすぐさま引き上げた。
暫くは様子見だが…… 念のためにマザーへも警告を発する。
もう一つ、
「(
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