第93話 本当に大丈夫だろうか

『そうでしたか。 いやはや、驚きました! このアスガルド建国の御使い様が御出でになったのかと。 しかし、このタイミングとは…… 不思議な廻り合わせですな 』 

アイギスは目を細め半蔵を見やると、揺らめく魔力は、まるで本物の御使い様のようでありますが…… との思いを口にはぜずに飲み込む。 次いで、傍らの雷蔵へも同じ様な視線を送っていた。


ノリトは、アイギス達の反応を見て方針を修正する。 この様子だと、今の姿のままでは人目に付くのも問題になりそうだと思われた。

この後の事を考えると、半蔵は擬態させる方が良いだろうとの結論に達したからだ。

「アイギス殿、少しお待ち頂けますか 」

『どうされたのですか? 』

「半蔵をこのままと言うのは、その…… 色々と混乱が考えられますので。 人の姿へと擬態させようと思います 」

そう告げると、ミオへと指示を伝える。

本当に困るなぁ、この際擬態させた方が問題が少なそうだ。

だが、聞き間違いで無ければ、この国の建国に関わる御使いと言ってはいなかったか?


「ミオ、半蔵を擬態させようと思うが、どっちらが最適かな? 」

「う~ん。 姫様達の護衛兼務なら、女の子でしょうね 」

だが、本当に大丈夫だろうか。

「半蔵、しのぶにチェンジした後にここへ戻ってこい 」

「……キュイ!了解よ 」

と半蔵は返事をすると、別室へとトテトテと歩き消えていく。


ノリトは半蔵を見送ると、アイギス達へ向直り、

「お騒がせしました。 あともう一つ、ジークフリートは声を変えてあります。 私と同じでは紛らわしいでしょう。

人と変らず自立行動を執れますが、注意事項や振る舞いへの指示等あればお願いします 」


『まあ、その辺は追々行ないましょう。 誰も彼の事は知らないのですから、問題も起こらない…… いや、気にする必要もないですからな 』

アイギスはそう答えると傍らの少女へと視線を送った。

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