第94話 アイリーン・F・グリモアール

 魔法師の制服・・にも系統があるらしい、一番多いのは黒地に白銀の切り替えがある物だ。

襟元と肩、袖口、腰のベルトに裾部分と要所に白銀に輝く糸や布を使い、ワンポイントが入っていた。

細かな刺繍の様な文様も所々に施されている様だ。

両肩にはエンブレムが縫い付けられている。良く見れば、この国の王国旗と同じ意匠であった。その意匠は白き翼と一角を持つ竜がデザインされていた。 ノリトは今更ながら気付き、冷や汗を流した様な気分になっていた。


召喚の間で見た多くの魔法師と、アイギスと傍らの少女の制服は少し違うものだった。

白銀の他に赤い糸で文様が描かれていたのだ。

先日のレイン・フレイム・マレリーも同様であったのだが、アイギスたちとは違い青い糸を使い文様が描かれており、この色にも意味があると思われる。


傍らの少女は少し幼さが残るが、美しい顔立ちをしている。

髪の色が青色を帯びた 黒と言えば良いのか? 光の加減で美しく青い輝きを魅せた。

アイギスの髪も、青い物・・・が混じり始めていたが黒髪であった。

白髪では無く、白が薄い青に変った感じと言えばよいのか。

まぁ、そんな感じだと想像して欲しい。

何処と無くだが、アイギスと同じ雰囲気を持っていた。


『さて、を紹介したく連れて参りました。 

今後は、ノリト殿とミオ殿へのサポートはこの者が行ないます 』

そう言って傍らの少女を紹介する。


『お初にお目にかかります。 アイリーン・F・グリモアールと申します 』

歳は 十八歳でアイギスの一人娘になるそうだ、高位神官でもあり高位の魔法師でもある。 子供は一人では無く、上にもう一人兄が居るそうだ。


「宜しくね 私の事はミオでお願い。 コッチのは、カンナギでもノリトでも好きに呼んでね 」


「では、ミオ様にノリト様と呼ばせて頂きます 」


「そんなに畏まらなくても良いのよぉ。 もっと、気楽にしてね 」

ミオが笑い掛ける。


「まぁ、すぐには無理だろう。 徐々に慣れれば良いので気楽にして欲しい。

では、此方からも、もう一人紹介しておきます。 彼女は実体では無く虚像になるのですが、この施設を統合管理するための人格だと思ってください。 統合型人工知能マザー・クラスターというもので、通称をマザーと呼んでいます 」


『マザーと申します。 今後ともご贔屓に 』

やや、意味が違うだろうと思われる挨拶を交わした。


その時、丁度ドアが開き半蔵が現れた。

身長は150cmと小柄な少女で、その服装は赤を基調とした礼服スーツであった。

だが、その服装とは対照的な言葉遣い。

「皆さん、お待たせっ! 」

スチャッ! と言う効果音が出そうな敬礼をしながらの挨拶だった。


「…… では、そろそろ参りましょうか 」

ノリトは深く考える事を放棄し、アイギスへと準備が整った事を告げた。


『そうですな。 では、参りましょう 』

そして一行は、ゲオルグ達の待つ闘技場へと向かうのだった。

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