第73話 言葉の意味が理解出来無かった

「陛下…… 理由を伺っても宜しいでしょうか? 」

ノリトは、先のゲオルグの言葉の意味が理解出来無かった。


『ノリト殿は、その姿になってから、違和感を感じはしなかったかな?

それが理由なのだが 』


「確かに視線と言うか、違和感は感じております。 

陛下にもアイギス殿にもですが 」


『似ておるのだよ。 

いや、生き写しと言った方が良いかな 』

ゲオルグは言い淀んでいた。


「どなたにですか? ……もしや!? 」

ノリトは何となくではあるが、察した

そう考えれば、フローラ様の言葉の意味も繋がるのだ


『我が息子、アーサーに生き写しなのだよ……

髪の色、瞳の色迄が……

失くなったのは二十四であったが、そう歳は違うまい 』


『ノリト殿、そう言う事なのです 』

アイギスも頷く


「それで…… 年齢により反応が違ったと!? 

だが、それは、おかしくはないですか。

シャルル様とアルフォンス様の反応が…… 」


『二人は父の顔を知らぬのだよ。

病のために、会うことも出来なかったのだ。

乳飲み児の時は違ったのだが、流石に覚えてはおるまい。

不憫な子等なのだよ 』


「それで、アーサー様のご兄弟として、敵の動きを探る……

いや、動揺を誘い炙り出すと言う事ですか 」


『恐らくは、内部に居る者たちが先に動くであろうな。

そして…… ギレン法国も動くであろうと想像できる!

敵に動きが出れば、その正体も掴み易くなるは必然 』


「判りました。 その御依頼お受け致します。

そうですね…… 私の手の内、と言ってもこの身体と同じですが、皆さんにはお見せしようかと思います。

どちらにせよ、一つの身体では限界があるので、数名でらせて頂きます 

明日ですが、闘技場へ向かう方は、この部屋のメンバーだけですか? 」


『いや、これより二名を新たに紹介するのだが、問題かな? 』


「いえ、陛下のご信頼された方ならば、問題はないでしょう 」


『では、アイギスよ、呼んでくれるかな 』

ゲオルグが指示を出すと、アイギスが席から立ち扉へと向かうと、魔法陣の描かれた金属製のプレートへと手を翳した。


扉が開き、暫くすると向こうから二人の女性がやってくる。

一見、一人は騎士であろうか、もう一人は魔法師の様だった。

中に入り空いた席の元まで移動すると

『はじめまして、エレオノーラ・フレイム・ライオットと申します 』

ノリトへと礼をとる

彼女は聖騎士であり、ライオット家の現当主との事、三十八歳とフローラ殿や亡くなったアーサー殿と同い年となる。


もう一人は、

『初めてお会いするのよ。 レイン・フレイム・マレリーよ。 宜しくなの 』

 聖魔法技師・・・・・であり、三十四歳と…… とても見えない!

どう見ても…… 二十代…… いやシャルル様と同じ位に見える!!


表情に出ていたのだろう、レインと名乗る女性から

『貴方のお顔、正直ね! ほんとにアーサー様と同じね!

嘘のつけない方のようなの 』

クスッと笑いながら言われてしまった。


「失礼致しました。 余りにも…… お若く見えましたので。

その、驚きました。 レイン殿はもしや、レオン殿の妹君でしょうか? 』

名といい年齢的にもそうであろうと思うのだが、


『正解なの。 レオンは兄よ。 

本来ならマレリー家の当主は兄であったのよ。

でも…… 私が後二年したら受け継ぐの。

だから、その前に仇を討つのよ! 

お願いなの、力を貸して欲しいの。

あの床を、あの様に砕いた貴方なら…… きっと 』

レインはノリトを見詰めた。


そして横合いから、

『私からもお願いする。 友の願いを未だ叶えてはいないのだ。

エストの本来在るべき場所へと導くのが私の務め、友の無念も晴らして……

いや、あの国の平和も望んでいた二人の想いを……

叶える手助けをお願いしたい 』


「皆さん、私を買被り過ぎです。

此方へきて、たった二日ですよ。 

そんな者に何を期待しているのですか? 」

ノリトは本音をぶつけた。


『ノリト殿、先程話したフローラの事。

生命力と言う物を可視化できる能力の持ち主が、そこにおるレインである。

そして、もう一つ理由を述べるとしよう 』

ゲオルグがアイギスとレインへと先を促す、

『ノリト殿、私とレインは気付いております。

昨日の魔力ランク観測魔法具・・・・・の事 』


『そうなの…… 

あの様に誤魔化す・・・・なんて事、普通なら出来ないのよ! 

それを貴方は一瞬の内に行なったの。

それがどう言う事か、言っている意味はお判りでしょう。

その実力がある貴方だから、と言う理由では足りないのかしら 』


ノリトは内心驚いていた。

あの偽装を見破られたのだから…… 

いや、全ては、侮っていた自分の落ち度が問題なのだが。 

「これは、申し訳ない。 ばれていましたか。

特に意味が…… いや、意味はあったのですがね。

あの魔力ランク観測魔法具・・・・・ですが、仰っていた以上の情報の調査能力を秘めておりました。

全て開示される可能性を、危惧した事からの行為だったのですよ 」

ノリトは素直に謝ることにした


だが、違った反応を二人がしたのだ

『『なに! あれ以上の能力を秘めている! 』』

アイギスとレインが立ち上がった!


「はい、お気づきではなかったのですか? 

込められた術式と法具のスペックが合っていなかったのですが…… 」

二人が顔を見合わせた


『その話は、後日で良いかな? 』

ゲオルグが割って入った、このままでは先に進まないとの心配からだ


『はい、 この件は後日ゆっくりと』

『話しあうのよ!!! 』


『では、この後だが先の息子の件、詳細を詰めさせて貰おうかの 』

ゲオルグがノリトへと笑顔で告げた!

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