第61話 銀翼の魔女

 当時の法王は、ギレン法国最後の良心と云われたギレン七世。

オットー・ギレン・ゴダールであった。


    ◇    ◇    ◇    ◇


 エレノア・ギレン・ラルース

銀髪碧眼の美しくも勇猛な剣士であり、ギレン法国王家に連なる三家の一つであるラルース家の長女として生まれた。

後に、銀翼の魔女・・・・・と謳われ、ギレン法国歴代法王をも凌駕するほどの魔力を有していたと伝えられている。


 ギレン法国はゴダール家、ラルース家、フィルモア家の三家により統治されてきた。

法王は三家の中より最上の魔力を持つ者が継承して来たのだ。

ただ、まつりごとに長けていたのがゴダール家と言う事もあり、ゴダール家の当主が継承する事が多かった。

しかし、何れの場合も他家の後継者と同等の魔力を保有していた事から、継承の障害になる様な事が起きなかったのだ。

しかし、次代の八世の継承には持ったが掛かってしまった。

レイモンド・ギレン・ゴダールの保有魔力は余りにも凡庸過ぎたのだ。


 レイモンドが十五歳の時、最初の変化が訪れる。

フィルモア家に待望の長子が誕生したのだ。

名を、クルス・ギレン・フィルモアと言う。

フィルモア家当主カイロス、妻フランシーヌの間に生まれた男児だ。

 

 この世界では生まれた時から、魔力を持っているのが普通であり、誕生と同時に洗礼と称する魔力認定検査を受ける。

洗礼の結果、クルスの魔力ランクはSSS相当である事が判った。

 

 当然だが、成長する事で魔力も増大しては行くのだが、ベースとなる基礎魔力量が最大魔力量と相関しているため、重要視されるのだ。

基礎魔力量が低ければ、努力をした所で基礎魔力量の多い者には及ばないのだ。

ただし、それにも例外と言うのは存在するのだが。


 最大魔力量はF~A・S・SS・SSS・SR・SSRと高くなって行く。

レイモンドも凡庸だと言われていたが魔力ランクはSであり、決して低い訳ではなかった。

一般的にF~Bが普通であり、B~Aで騎士団員や魔法師になる。

A~Sは高嶺の花であり、SSやSSRなどお目にかかる事は殆ど無いのだ。

なお、魔力の成長は15~18歳でピークを迎え、独り立ちする頃には魔力ランクが確定する。


だが、これが王族となると話が変ってくる。

ギレン七世は魔力ランクはSSSであった。

三家の血縁で魔力ランクが低い者でもA~Sであり、ラルース家、フィルモア家の当主ともなればSSレベルなのだ。

そして、王族であった事がレイモンドの不幸の始まりだったのだ。


レイモンドが失意のどん底にいた時、突如として現れた光明!

ラルース家の長女、エレノア・ギレン・ラルースである。

 彼女は出生時はSSランクの魔力保持者であった。

しかし、運命の悪戯だろうか、一つの出会いにより才能が開花……

いや、限界突破したと言う方が正しいだろう。

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