新たなる出会い

第25話 夫婦を迎えるための部屋であろうか?

 シャルルに案内され、双翼の間へとやって来た。

身分の高い夫婦を迎えるための部屋であろうか?

部屋の造りといい、調度品といい良い物を置いている。

ただし、下品では無く適度な高級感と言うのだろうか?

泊まった事は無いが、高級ホテルのロイヤルスートとは、こういった雰囲気の場所なのだろうと感じさせた。


『ノリト様、ミオ様、此方の部屋になります。 

何か必要なものが御座いましたら、此方のベルを鳴らして下さいませ。

すぐに、メイドがお伺いに参ります。 

御遠慮なさらずに、お寛ぎ下さい。 

では、私は此れにて失礼させて頂きます 』

そう告げると、シャルルは部屋から退出した。


色々とあったためか、時間の経過が目まぐるしく、既に18時を過ぎる時間であった。

こんな時間な事もあり、夕食を薦められたのだが、丁重にお断りしていた。


やっと落ち着けるか……

「さて、澪さん? 色々と・・・相談をしないといけませんが。

いつ、特訓をしますか? 」


「ひゃいぃ! ノリト? あっ、あれは冗談よぉ、

可愛い冗談じゃない…… ごめんなさいぃぃ 」

やっぱり忘れて無かったのね……


「まあ、今回はサービスしておこう。 次はフルコースを御馳走するからな! 」


「ひゃい! 肝に銘じておきまするぅ! 」

ノリトはミオの様子を伺い、肩を窄めた。

これ位で許してあげるか。と嘆息する。


「ミオ、とりあえず、軽く食事をするか? 必要なら用意をするが 」

ノリトはミオへと尋ねる。


「じゃぁ、 お願い出来るかなぁ? 」


「わかった、 すぐに用意するから座って待っていてくれるか 」


ノリトは部屋を見回すと、窓際へと向かった。

「バルコニーか、ここなら良いか 」


そう言うと、バルコニーに出て周囲を見回す。

キッチンユニットを出せるスペースを確認すると、異空間より器具を取り出した。

時空庫バンカーとは便利である。

異空間へと様々なモノを収納し、任意に出し入れ可能だからだ。


生鮮物も保存が可能で、長期作戦用に数ヶ月分の食料は常備していた。

とは言っても、専ら食事を採るのはミオだけであるが。

ノリトも食事をするが、違う意味であり今は必要がなかった。


 現われたのは、アイランド型のシステムキッチンだ。

総ステンレス製で清潔感があり、天板の一部が大理石仕上げになっていた。

コンロにグリル、食洗機に大型シンクを装備した、見た目は普通のシステムキッチンであるのだが、コンロはガス式とIHの二通りが装備されており、加温調理はIHと作成者の拘りが見られた。


 内部には錬成装置が組み込まれ、生ゴミは錬成処理で別物質へと返還処理を行い、燃料や水を作り出し貯蔵している。

とは言っても、水も60リットル程を内蔵しており、再生循環処理を行っている。

そのため、基本的に水の補充の必要は無い。

水を使いすぎて、万が一無くなっても、大気中より錬成して補充が可能だった。


バルコニーへ暖かな風が吹き抜けると、開放された窓から芳しい香が漂ってきた。

食事を待ちわびるミオが、いそいそとバルコニーへとやって来くる。

 

「もう出来たかなぁ? 」





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