第2話 「神託? この国とは? 」

「神託? この国とは? 」

は内心では安堵していた、言葉の通じる事に。

其処に居る人間の姿から、ここは、どう見ても日本では無い事。

時代的に考えても、思い当たる国は無かった。

また、自分の居た世界には、この様な装束に身を包む文明の国は、既に存在してはいなかった。


『この国は…… 

いや、この世界・・・・は「フレイアース」と言われておる。

古より、創造神フレイ様により創造されし世界と伝承されて来た。 

此処は「アスガルド王国」と呼ばれ、私が治める国である。


先頃、神からの啓示があったのだが。 

神託によるり、異界より二人の旅人・・が来訪すると告げられたのだ。

過去、幾多の来訪や転生は記録として残っておるが、旅人・・と言う記録は皆無であった。

誠に申し訳ないのだが、今回の事がどう言った意味を持つものなのか…… 

我々にも判らぬ 』


「この世界…… 

じゃぁ、この部屋は、異世界からの召喚・・を行なう部屋……

と言う事ですかぁ? 」

は王に問うた。


『召喚するための施設、と言う認識で間違いは無い。 

だが、先も申した通り、我々・・が望みそなたら二人を召喚したのでは無いと……

我が身命に掛けて誓おう 』

一部の者達よりざわめき・・・・が起こった。

そして、一人の騎士が一歩前へ出ると、王へと告げる。


「陛下! この様な者達へ!! 

その様に命を掛ける等とは…… 」


『お黙りなさい! この国へとお出で頂いたお二人に対し、その物言いは無礼であろう! 』

王の傍らに立つ、凛とした面差しの少女? その身形からは高貴な者である事が窺える。 件の騎士の言動に、その言は無礼である! と叱責した。


すごすご・・・・と後ろへと下がる騎士。

それを王は確認すると、周りを見回し言葉を続ける。


『皆の者、問題があるのか? 

我に断りも無く、召喚の儀式は出来ぬ決まり。 

その我が、指示しておらぬのだがな。 故に命を掛けるとの言に問題はなかろう!! 

それとも…… 違うと申すのか? 神官長よ、どうなのだ!! 』


「陛下、仰る通りで御座います。 

陛下のお言葉。 全く問題等は御座いません 」


『配下の者が無礼をした。 

誠に申し訳無い…… 』

二人に向直り、王がこうべを垂れる!

その行為に、ざわめきが起こる……


「頭をお上げ下さい。 陛下を心配しての事でしょう。 

気にしてはおりませんので、話の続きをお願い出来ますか 」

は王へと先を促した。


二人は、その意識下で相談をしていた。

元居た世界で開発した・・・・次元通話である。

例え遠く離れようとも、繋がり合う者は、その距離に関係なく意識下での会話が可能だ。

(どう? 何か判った事は? )


(ああ、王は嘘をついていないが。 数名怪しい…… 騎士と魔法使いか? 

 恐らく嘘をついているな…… )


(そう…… なら、暫くは様子見よね )


は自身に備わる特殊機能により、嘘をも看破する事が出来る。

異界召喚か…… それとも、違う現象なのか? 


この国にも色々とありそうだが、この後の事を考えると……

「溜息しか出ないな 」

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