お憑かれ!七海崎高校探偵部
@dorubemunou
第1話 目覚めの時
「あーあ、何か面白いこと起きないかなー」
彼女は下校途中ため息を付きながら呟いた。
現在5月、七海崎高校に今年入学した彼女の名前は山崎竜花である。
入学から一ヶ月経ちそろそろクラスの中のグループが決まりだす頃合いであるが未だクラスに馴染めないでいた。
「面白いこと起きたら良いのにね。でも具体的に面白いことと言っても人それぞれだよね。私は一人でも楽しいタイプだから今のままでも満足だけど。」
「いや仙華ちゃんクラスに特に話す人がいないというのは結構寂しいもんだよ?休みの日と帰りは仙華ちゃんがいるから楽しいけどね」
この少しぼっち気質の入った少女は東堂仙華竜花の幼馴染で高校は一緒だがクラスは別になってしまったよくあるパターンである。
「あ、もうこんな所かそれじゃあまた明日仙華ちゃん!」
「うん。また明日。」
仙華と別れ後少しの間で家に着く
「何か変わったことでも起きたら良いのになー」
最近変わった事と言えば共働きの両親が残業続きで夕食を取る機会が無いくらい
しかしこの年頃まで来ると一人で食べる夕食も意外と悪くない物である
「ただいまー!」
といっても誰もいないのだが一応の形式として声に出してしまう。
習慣とは恐ろしいものだ
母親が作り置きしてくれた夕食をレンジでチンしている間に明日の用意を済ませてしまうのがいつもの流れである。
「大雑把なくせにこういうことだけはちゃんとやるわねっていつもお母さんに言われたっけ」
全く寂しくないと言ったら嘘になる。
学校でも家に帰っても一人というのは案外寂しい。
「ご馳走さま。」
夕食を食べ皿洗いとお風呂を済ませてとりあえず布団にダイブした
「疲れてないのにやけに眠いな…」
竜花は夜型タイプでこの時間はまだまだ余裕のはずなのだが強烈な睡魔に襲われ眠ってしまった。
(目覚めよ。竜を名に持つものよ。)
「え?」
この神々しい大地のそこから響くような声は遅刻しそうになって母親が起こしにきたわけではなさそうだ。
「えっと…どちら様でしょうか?」
辺りは暗闇である。
地面ですらあるのか定かではなく宙に浮いている。
どうやら夢のようだ。
「娘よやっと話せたな。貴様と話せるのを16年待ったのだ。」
……そう語りかけてきた人物は、いや人物というには違う
細くも荒々しい体
その体には鱗がちりばめられていて
口には鋭い日本
の牙がついている
そうまさしくこれは龍……?
「何を鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている?確かに威厳ある龍を見れば人間からすれば驚くの仕方のない話だが。」
「威厳って……何このちょうううううう可愛い生きものううううううう」
そう確かに良くファンタジー等で出てくる龍そのものなのだがサイズが小さいし何より丸い。
そうわかりやすく言えばデフォルメされた龍である。
「な、何をするかこの無礼な!いきなり抱きつくなど破廉恥だ!」
龍はジタバタ短い手足を動かしながら抵抗しているようだが正直全く以て抵抗になっていない
「あーごめんごめんいきなり失礼だよね?
でー一体あなたは何なの?」
結局可愛い龍ということしかわかっていない事を思い出し問いかける。
どうせ夢なのだから聞いたところで特に意味は無いがこの可愛い生き物と少しでも喋っていたい。
「話したいところだが今日の所は時間がないのだ手短に話すからよく聞くのだ。近いうちお主のクラスで人殺し、つまりは殺人事件が起こる。主の身にも危険が及ぶかもしれん。まだ同調が不安定なためここまでしか読めぬ」
龍が何やら予言めいたことを言い切ったところで私は意識を失った。正確に言えば起きたとも言える。
「何だったの今の夢…良くわかんないけど何か良くないことが起こるって…んーでもただの夢かな?」
ただの夢だと決めて気にしないことにした私はふと枕元にある目覚まし時計を確認した。
時刻は8時。
家からは30分の距離なのでこれはつまり遅刻確定である。
あの龍また夢に出てきたら可愛がりの刑に処すと竜花は決めた。
「急げええええええええ」
とすばやく着替えを済ませ学校まで自転車をぶっ飛ばしたのであった。
お憑かれ!七海崎高校探偵部 @dorubemunou
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