スカイプレポート その3
スカイプの会話はまだ続いていた。
が、俺はあまり会話には参加していなかった。メルとエフヌロさんがよくしゃべるというのもあったが、先ほどスマホの電源が切れたのが気になっていた。
ヴァレー「このスマホ、不具合を起こすようになったのか?」
ピロン
ショートメールが来た。やはりメルからだ。
メル:返して
!?
なんだ……これは!
パソコンの画面を見る。いつも通り、そしてメルとエフヌロさんがしゃべっている。
メルのいたずら、ではなさそうだ。
そもそもメルとは10年以上の付き合いで性格はよく知ってる。こんなつまらんいたずらをするヤツじゃない。
誰か別の者がメルのスマホでいたずらをしているのか……
確認するが、宛先は間違いなくメルだ。
ヴァレー「ちょっと!」
メル「ん?どしたん?」
ヴァレー「さっきからメルから俺のスマホにショートメールが入っとる」
メル「ええ?なんもやってへんで?」
ヴァレー「そうらしいな……」
メル「だいたい俺、最近スマホ使ってへんで?ガラケーに換えたんやけど?」
ヴァレー「……は?」
メル「スマホの電波がきついんや」
ヴァレー「メルのスマホはまだあるんか?」
メル「あるよ。部屋の奥にしまってるけど」
ヴァレー「ちょっと取ってみてくれんか?」
メル「お?おー……」
そういうとメルは自分のスマホを取りに行った。
ヴァレー「……」
1分ほど経った。
ヴァレー「なあ……まだか?」
返事がない。まあしょうがないか。
……
5分経った。
エフヌロ「メルさん遅いですね」
ヴァレー「おーい!」
返事はない。
なにかおかしい。
メルに電話をかけてみるか。
そう思って自分のスマホの電話帳を検索すると……
ヴァレー「ん!?」
メルの登録が2つある。
一つは……いつものだ。
もう一つある。こちらは……別の電話番号が登録されている。
こんなのあったか?あいつ、2つ電話もってたか?
ピロン
またショートメールが入った。
メル:なあ、いま部屋の前にいるんやけど
部屋?誰の部屋の前だ?
ヴァレー「おい!」
スカイプで話しかけるが返事がない。
ヴァレー「……」
部屋の前にいる?いやそれより……
このショートメールに返事してみるか?
文字を打ってみる。
ヴァレー:部屋ってなんや?俺の部屋の前にいるんか?
メル:そうやで
なんなんだこの会話は。
ヴァレー:そら、なんかのテレビ番組のドッキリ企画とかかいなw
だが返事がない。
コッコッ
突然、ドアをノックする音がした。
その直後にショートメール
メル:もしもし
なんだと……
いや、今のは聞き間違いだろう。
外は暴風雨なので、窓や洗濯竿がガタガタ揺れている。
ウチは古い木造住宅なので、外が暴風になると家の中のドアがきしんだりするのだ。
ノックの音と聞こえたのも、家の外で何かがぶつかった音なのだろう。
そしてまたノックらしき音がする。
コンコン
その直後
メル:もしもし
このタイミングは偶然か?
そしてまた
コンコン
メル:もしもし
どうやら偶然ではないらしいな……
スカイプに向かって話しかける。
ヴァレー「もしもし?いるんか?」
エフヌロ「どうしたんですか?」
ヴァレー「何かがおかしい!」
エフヌロ「??」
直後、スカイプの画面に
「メルさんとの通信が切れました」
コンコン
今度ははっきり聞こえた。俺の部屋のドアをノックする音が。
向こうに誰かいる。
誰がいるのか?
確かめないといかんな……
ヴァレー「ちょっと離席しますよ」
エフヌロ「はーい」
俺はドアの前に立った。
ズドンッ!
なんだ!?
ドアに人が倒れ掛かったような強烈な音がした。
誰かがいる、間違いない。
……だとしても、なぜ開けない?ドアには鍵なんてないし……
理由があって開けられないのか?
ドアの向こうから声がした。
親父「なにやっとん?はよう寝んかい!」
ヴァレー「あ、ああ……」
親父か……
うるさく騒いでいたので怒っていたのか。
ショートメールやスカイプとは関係なかったんだな。
ホラーなオチでも来るかと期待してしまったが、まあそんなこと起こるわけがない。
メル「ヴァレーさん、スマホあったで?」
スカイプにもメルが戻ってきたようだ。
やはりなんともなかったらしい。
今日は偶然が重なって面白いことが起きたスカイプだったな。
そして無事会話が終わった。
歯を磨いてそのまま就寝となった。
……
…
ピリリリリ!
ヴァレー「!?」
電話?の音でたたき起こされた。
今何時だ……時計を見ると、午前3時だ。
ヴァレー「なんだと……」
スマホを見ると、かけてきたのはメルだった。
ヴァレー「夢ではないな……」
電話に出てみた。
ヴァレー「もしもし?」
第3回・スカイプ交流会のレポート ヴァレー @valleysan
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