酒と涙と俺と嫁!

@wagashi

第1話 とりあえずの王様

「とりあえず」


言われた方は妥協感が強く、なんだか残念な結果に繋がる気もしないでは無いが、こと酒に関しては話が違う。


とりあえずは魔法の言葉じゃないのか。

と思わせるほどの力があると思う。


「生ビール」だ。


最近ではソフトドリンクからスタートする呑み屋泣かせの輩が多いけど、呑助の俺と嫁はとりあえずと言えば生ビール。

居酒屋だろうとウェイティングバーだろうと酒を飲むと言えば最初は生ビールから始まる。

しかも居酒屋で働いてる俺と嫁は仕事でも酒と向き合う時間が多いにもかかわらず、プライベートでも呑む。

まれに吐く程呑む自分達のことを馬鹿じゃないのかと思うこともあるけど、きっと俺と嫁は酒の神様バッカスに愛されていると思うことにして呑み続けているのだ。


そもそも生ビールって何?


という人に以前はビールの生い立ちから製造の過程、はたまた科学まで説明してしていたのだが、今では


「とりあえずの王様だよ」


と簡単に言うようになった。

けして面倒臭くなってしまった訳ではない。

その方がロマンを感じるからだ。


「何が?どこがロマン?」とか言ってはいけない。


そもそも酒呑みはロマンチストだから良いんです!

とりあえずの生ビールは王様なんです!

そこから始まるストーリーやドラマが多いから良いんです!


俺と嫁も出会いは呑み屋さんで呑み会があり、当然ながらとりあえず生ビールを呑み、

そこから結婚に至るわけだから、つまり生ビールが仲人と言っても過言ではないのである。


とりあえず生ビールは生ビールに対して失礼と言う時代もあったけど、今ではもはやとりあえず生ビールという動詞になってしまったから失礼を通り越してリスペクト状態である。


もし生ビールを頼む時にとりあえずと言い辛い方も、前述のように脳内変換するのはどうだろうか。

ただの呑助の戯言かもしれないが、酒と向き合う時間には様々なドラマがある。

その始まる合図にもなりうる魔法の言葉。


「とりあえず」


是非、意識して使って生ビールを呑んでみて欲しい。

呑む事にロマンを感じる事が確実に増えていくはずである。


今日も呑みに行きます。良い酒呑みを。









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