「いつだって何処かで警告音が鳴ってる。それを無視して、ここにいるのは誰だよ」
悪党とは言っても、矛盾のない発言を行える悪党は魅力的ですよね。
人間全体に刻み込まれた慣れようとする習性を、根底から皮肉っているように思えます。
しょうがないじゃないか、が口癖の人は、多分寛太さんだけじゃあない。90%以上の人間がそうなんじゃあないかなって思います。
そして10%の人間だって、必ずしも結果を残せるわけじゃあない。
でも一度90%の方へ行ってしまうと居心地が良くて、被害者気取りで喚くことができるから、そうしたくなってしまう。10%へ戻れなくなってしまう。
だからこそ踏みとどまらなければいけないし、10%の人間を嘲るのではなく応援しなければいけない。
というようなメッセージのようなものを感じました。
怪獣が災害としてあるがゆえの火事場泥棒と言う所にフォーカスを当てるのが、見事だなあと思いました。
荒廃しきってない世界だからこそ「これから壊される」ことへの絶望がより明瞭になっており良いなと思いました。
善と悪、世界観、今と過去、絶妙なバランス感覚だったと思います。
ありがとうございました!
作者からの返信
慣れるって、善悪とか価値観とか見境なく起こることで不思議だなと思ってました。「しょうがない」を自覚しているのとそうでないのでは、全然行動が変わるだろうなと思って書きました。
怪獣モノを違う切り口でかけるかな、と考えて書いたので、見事と思ってもらえてとっても嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました!
コメントが難しかったので、♡と☆だけで済まそうかと思ったのですが、私だったらどう感じたか気になるなと思い、戻ってきました笑
面白かったです!他の作品もですが、スケールの大きなものと身近な感情、空想と現実、善と悪、そういった相反するものの取り込み方が秀逸です。
怪獣という非現実なもの(少なくとも現時点では笑)が登場する本作も、かえって怪獣の存在によって現実感が出ているというか、良い意味で怪獣は物語を彩る一つのアイテムに過ぎないんだろうなと感じました。怪獣というインパクトのある題材ながら、それを主に添えないセンスに感服です。
作者からの返信
返信遅れて、すみません。
コメント、めちゃくちゃ嬉しいです。
>そういった相反するものの取り込み方が秀逸です。
ありがとうございます。「ウルティマ・トゥーレの大河」のときに、スケールを両極端に振るところを褒めてもらえたので、積極的に小説の中に相反するものを取り入れるように意識しはじめていたので、そう言ってもらえて嬉しいです。
>インパクトのある題材ながら、それを主に添えない
怪獣に詳しくなかったので、怪獣の描写にあまり手を出さないように気をつけました。神秘は神秘のベールに隠したままにすると、その方が普通の風景をリアルに見せられるというのが、今回学んだことでした。
今後も、非現実的なもの、空想を違和感なく小説に取り入れたいですね。
読んでいただき、ありがとうございました!
チャート企画から読みに来ました。
「あとがき」は読んでみたら完全に「あとがき」だったので、こちらに書き込みます。
紹介文を読んで、そして本編を読み始めた直後は「『ウルティマ・トゥーレの大河』とは雰囲気が大きく違う作品っぽい」と感じていたのですが、少し読み進めたところで「なるほど、同じ作者の小説だ」と考えが変わりました。マンネリのようなネガティブな方向性ではなく、安心感というポジティブな方向性の『同じ』です。
では、この作品のチャートを。頭の中で『ウルティマ・トゥーレの大河』と比較検討しながら、診断評価を考えました。
ライトノベル ☆☆★☆☆ 一般文芸
文学的要素 あり ☆★☆☆☆ なし
エンタメ性 あり ☆★☆☆☆ なし
男性向け ☆★☆☆☆ 女性向け
キャラクター ☆☆☆☆★ ストーリー
意外性 予想通り ☆☆☆☆★ 予想外
合理性 納得 ☆★☆☆☆ 理不尽
作者からの返信
チャート、コメント、ありがとうございます!
>「なるほど、同じ作者の小説だ」
自分の色みたいなのはモノ、作風のようなモノを作りたい、と思っていたので、これはかなり嬉しいコメントでした。
今回はどんどん予想外の方向へと話を進めたかったので、それに納得感も伴っていてほっとしました。
チャート、ありがとうございました!
チャート企画から参りました。
・ライトノベル ☆☆★☆☆ 一般文芸
・文学的要素 あり ★☆☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ★☆☆☆☆ なし
・男性向け ☆☆★☆☆ 女性向け
・キャラクター ★☆☆☆☆ ストーリー
腹が立つ程、面白いですね!!(笑)
正直、このチャート企画で「短編」に対する認識が変わりました。
…お前が原因じゃコンチクショォォォーッ!!!!(笑)
さて、チャートですが、一般文芸としてもライトノベルとしても
どちらの読者層も行ける作品だと思います。
なので、中央に★を置かせていただきました。
文学的要素、ありです。
ただ、この話は、もう少し長いエピソードを読んでみたい…!と思いました。
あとがきにあるように別の方の作品にインスピレーションを受けられた…
との事ですが(そちらは、まだ読んでおりません)
…この、どうしようもない困難(=怪獣)から「逃げ出す事」で生き延びて来た
主人公の、「この後」が見たいです。
エンタメ性はやはり、かなりあるかと。以前もウルティマ・トーゥレの大河で
コメントさせていただいた通り、他の表現方法に変換しやすいです。
特に、最近流行りのカップヌードルの重めなCMや真・ゴジラのスピンオフみたいな感じになりそうなイメージです。
男性向け、女性向け、と言う枠ではない気がします。あえて言うならば
「困難から逃げ出したことのあるすべての人に」向けかな?
ストーリー性はこれを長編にして付けていって欲しいのでキャラに極振りです。
この子の成長がよみたいなーーーーー!と言う「読者」としてのわがままです。
ちなみに、この「怪獣」は主人公たちの「日常」となるくらい頻繁に現れて
15年も経過している設定です。
そして、それに対応する警報まで出している。
「怪獣」の襲来が避けられない現実なら、どうしてこの都市は高層マンションをまだ維持しているんだ?
もっと低い階層の建物とか、地下を充実させるとか、そういう方向には行かないんだろうか?
ガラスも、壊されるのを前提にもっと細かく割れて、人を傷つけないようにする、
もしくはアクリル板など、変形はするけど、破壊されにくい素材に変えて行く、
屋根に瓦は危険だから都市部では使わないように法律を作る、
柔らかい新素材の瓦を造る…いっその事、移動式の家を設計して販売する。
そう言う方向性で、人を…子供を、そして自分の過去を、助ける方法は有ると思います。
だから、ここで、諦めて、腐るな!寛太ァァァ!!!
と、どついてやりたい気分でいっぱいです(笑)
戦うだけが、立ち向かうだけが潔い訳ではないですから。
素材における技術革新が町工場から起こるって言うのも日本っぽいなぁ
と思うので、全力で被害を少なくする方向に前向きに全力で逃げて行って欲しいです。
作者からの返信
たくさんのコメント、それにチャート、ありがとうございます!
>…お前が原因じゃコンチクショォォォーッ!!!!(笑)
嬉しいじゃないですかコンチクショォォォーッ!!!!
>男性向け、女性向け、と言う枠ではない気がします。
怪獣という題材なので、どうなのかな、と思ったんですけど読者の間口が広いモノを作りたいと思ったので、ほっとしました。
>この子の成長がよみたいなーーーーー!
もっと読みたい、という声を多く貰っていて、どの部分が気になるのかなと考えていたのですけど、主人公の成長なんですね。
そこを書くのが苦手意識あります。
>「怪獣」の襲来が避けられない現実なら、どうしてこの都市は高層マンションをまだ維持しているんだ?
怪獣が現れたことによって、都市のカタチとか、法律や組織の在り方みたいなのは、たぶん変わっていると思うんですけど、今回は災害に直面した一市民目線で描こうと思い、敢えて設定を組むことをやめました。
町工場目線の切り口は、まだ誰もやってないんじゃないでしょうか。想像できないですけど、あったら斬新で面白いかもしれません(´・ω・`)。
こうやって主人公の行く末まで、考えてもらえるなんて、とても嬉しかったです。
読んでいただき、ありがとうございました!
チャート企画から参りました。
・ライトノベル ☆☆☆☆★ 一般文芸
・文学的要素 あり ★☆☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ★☆☆☆☆ なし
・男性向け ☆☆★☆☆ 女性向け
・キャラクター ☆☆☆★☆ ストーリー
あくまで個人の印象です。ご了承ください。
泣けたし、胸を抉られました。みなさん仰ってますが、これからのドラマに期待しちゃいます。
作者からの返信
こちらの方にも、チャートそして星まで、ありがとうございます!
一般文芸寄りなのが意外で、チャート企画にこれを出して良かったなと思います。
>泣けたし、胸を抉られました。
まさか、自分の手でそんなモノを生み出せるとは思ってもいなくて、いま噛みしめています。嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました!
編集済
チャート企画からまいりました。
・ライトノベル ☆☆☆★☆ 一般文芸
・文学的要素 あり ☆★☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ★☆☆☆☆ なし
・男性向け ☆☆★☆☆ 女性向け
・キャラクター ☆☆☆★☆ ストーリー
とても面白かったです。これだけでも一つの作品としてきれいに成り立っているのですが、他の方も書いていらっしゃるように、ぜひ続きが読みたいと感じました。
「怪獣」というフィクションの代表みたいな要素を使いながら、とてもリアルな世界が構築されており、さらにキャラクターの背景もよく考えこまれています。とても深い。
怪獣の出現が日常と化した世界で、人々がどのように生き抜いていくのか。怪獣孤児の主人公の目を通して、いろいろなドラマを見てみたいと思いました。
作者からの返信
チャート、それに星までありがとうございます!
想像以上に文学的要素が高くて嬉しいです。
ファンタジーなものを、出来る限りリアルな現代に立たせたい、という気持ちがあったので、めちゃくちゃ嬉しいコメントでした。
これ以上続けると、自分の筆力だではリアリティの面で粗が出そうだなと思ったのですが、もう少し考えてみようと思います!
読んでいただき、ありがとうございました!
「自作小説の成分チャートを作成しあいませんか?」の自主企画に参加していますのでチャート残していきます。
・ライトノベル ☆☆★☆☆ 一般文芸
・文学的要素 あり ☆★☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ★☆☆☆☆ なし
・男性向け ☆★☆☆☆ 女性向け
・キャラクター ☆☆☆★☆ ストーリー
短編物なのに内容がよく作り込まれ一変二変するのには驚かされました。少し考えこまされる後味。正義のヒーロー物では出せない味と思います。
これをもとに開高健の「日本三文オペラ」のような長編の泥棒物語にすると面白いかもと思ってしまいました。
作者からの返信
チャート、コメント、それに星まで、ありがとうございます。
エンタメ性に、開きが出るようで面白いです。
開高健の「日本三文オペラ」。
気になります。
沢木耕太郎さんの本で、開高健さんの名前は知っていましたが、まだ読んだことがありませんでした。内容も気になります。
紹介してくださって、ありがとう
ございます!
初めまして、失礼します。
チャート企画から参りました、蝉時雨です。読んだ所感にて、僭越ながら独断と偏見で診断させていただきました。
・ライトノベル ☆☆☆☆★ 一般文芸
・文学的要素 あり ☆★☆☆☆ なし
・エンタメ性 あり ☆☆☆☆★ なし
・男性向け ☆★☆☆☆ 女性向け
・キャラクター ☆☆☆★☆ ストーリー
怪獣というものに対する人々の考え方が、身近な描き方で書かれていてもっと長編で読みたいと思わされました。
人の生き方・考え方は人それぞれ。理解が得られずとも、それでも彼は足掻こうとした。その生き様が、虚構だとしてもなんとも言えない輝きがあるように感じました。
以上、個人的な感想ですが、参考にしていただければと思います。
作者からの返信
こんばんは!
チャートだけでなく、コメント、星まで、ありがとうございます!
参考になります。特に文学的要素・エンタメ性の部分は、怪獣という題材を扱っていて、こういうふうな印象を受けてもらえるのは驚きと共にとっても興味深いです。
何とも言えない輝きがある生き様、という言葉が、僕の中では新鮮な言葉で、嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました!
警報の《―― ホニャララ 》による表現がいいですね!
「」『』に次ぐ第三の話法として、今度、パクらせてもらいます!
作者からの返信
《》で、機械的な音声を。
──で、流れに無理矢理割り込んでくる時間経過的なものを。
そんなことが表現できれば良いなぁと使いました。
どこかで自分も、誰かが使っているのを見たことがあった気がします。どんどん使って下さい!
読んでいただき、ありがとうございました!
バラエティ番組からニュースに切り替える市民、避難の基本三原則、行政による予測サービスの提供……怪獣を災害と捉え、地震と同じような対処をする。そして避難を呼びかけに来た二人は……(ネタバレ回避)。序盤から、リアリティのある設定と、場面転換に向けたフックが盛り込まれていて、惹き込まれました。
怪獣孤児、握りしめた怪獣のオモチャ、怪獣のおこぼれ、人は慣れることが本当に得意……この世界に説得力を与える生々しい言葉の数々。市民は良くも悪くも怪獣の存在を受け入れ、順応している。現実に怪獣災害が頻発するようになったら、この世界と同じようになるのだろうと思わされました。というより、我々は既に自然災害に順応せざるを得ない社会に生きているわけで……。だからこそ怪獣という架空の災害を描いたフィクションを目にしても、自然災害と同じような描写をされると受け入れてしまえる。怖いことだけれど。
「リフト・バレーの幻」もそうですが、夢で見る景色……非現実的で、映像でないと上手く伝わらなそうな光景が、ありありと目に浮かぶように描写されていて、文章ってこんなにも上手く伝えられるものなのかと驚かされました。一瞬「何が起きているの……?」と思うけれど、その後のフォローによって意味不明にならずちゃんと伝わるようになっている。脳内で映写機を回されている感覚がします。文字だけで見せたいものを見せる……文章力レベルがカンストしている……。
結末も好きでした。英雄・悪党・敗走者……どうやって生き延びるのが正しいのか。もしくは形はどうあれ生き延びること自体が既に人間として正しいのではないか。そんな疑問を呈されたような気がします。
とんでもないものを読ませていただきました。いやぁ……入り込んでしまった……。
作者からの返信
コメントありがとうございます、嬉しい言葉ばかりで何度も読みました。
序盤、そういってもらえて嬉しいです……! 自分のできる中でも、かなり上手く書けた冒頭だなと思いました。
>現実に怪獣災害が頻発するようになったら、この世界と同じようになるのだろうと思わされました。
できるだけ現実と地続きであるような世界を書きたいと思っていたのでとても嬉しいです。怪獣に一様にパニックする市民の描かれ方をちょっと変えよう、でも怪獣の生々しいリアリティを与えるのは何だろうと考えたときに、怪獣がいても生活がある、市民も怪獣に対処するために雑務がある、みたいなところをたくさん描こうと思いました。順応しちゃって普通に振る舞っても、理不尽に日常を歪まされてこと事態は変わらない。それを忘れちゃっててふと思い出すと寒気がする、というのは現実と一緒で、そういう部分を描ければいいなと思いました。
>脳内で映写機を回されている感覚がします。文字だけで見せたいものを見せる
「リフト・バレーの幻」もそうですけど、この時期は印象的な映像を頭の中に浮かばせたい! と思っていたので飛び上がるくらいに嬉しいです。ズームとかスローモーションとかフレアとか、どうやったら映像っぽい形で想像させられるかと考えてた時です。ただ、ここについてこんなに誉められたことがなくて、自信持って良いんだな、と本当にやった!と思いました!
結末については、この疑問は自分のなかにもあって、時間かけてもはっきりと割り切れない感覚もあって、最後に投げ込んでみました。
たくさんの感想でめちゃくちゃ嬉しかったです。読んでいただきありがとうございました!