第21話


 先日の約束通り、サーニャちゃんとボードゲームに興じることになったのだが、僕はサーニャちゃんにボロ負けした。

 まぁ初心者だししょうがないなと心の平穏を維持して挑んだルールを覚えたてのアミティちゃんと僕の勝負。勝ったり負けたりと互角のものになった。


……幼女と互角。他の子達とも手当たり次第にやってみた。結果勝率2割。こんなの嘘だ。


「初心者だし……しょうがないと思うよ?」


 サーニャちゃんが四つん這いになってうなだれてる僕に慰めの言葉をかける。  


幼女に気遣われる自分。クソ。悔しいけどメッチャ嬉しい。

 無様。今の自分のなんと無様なことか。あんまり勝ちすぎたらかわいそうかなーとか、勝てること前提で考えてた自分が恥ずかしくてたまらなかった。……穴があったら入りたい。


「キャッ」


 僕はサーニャちゃんの手を握った。彼女から短い控えめな悲鳴が漏れる。


「な、なんです、かっ」


 サーニャちゃんは震える声で聴いてきた。僕はバッと顔を上げ、髪の毛越しに目尻に涙を浮かばせた彼女に言った。


「で、弟子にしてください……。」


「え、えっと。その。え? 」


「弟子にしてください。」


僕は戸惑うサーニャちゃんの姿に額を地面に擦り付けた。いわゆる土下座である。


「ひっ。ははは、はいっ。わかったから頭上げてっ。」


 サーニャちゃんは怯えた様子ながらも首を縦に振って、自分の二倍の体重はあるだろう僕をうんしょうんしょと立ち上がらせようと踏ん張っていた。

やったー。オッケーしてもらえたぞ。あと怖がらせてごめん。でも踏ん張る姿が死にそうなくらい可愛い。けどこのままサーニャちゃんを困らせるのも忍びない。泣く泣く僕はこうべを上げたのだった。

 その後僕はサーニャちゃんに弟子入りし、暇な時にボードゲームの指導してもらうことになった。良好な関係である。

 


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異世界生活に求めるはただ幼女と共にあることのみ ジェロニモ @abclolita

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