爆発寸前の私とアイツ

作者 穂村一彦

8

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★★★ Excellent!!!

コメディ色の強いツンデレにはいくつかの罠があります。
例えば『ツン』と『デレ』の緩急のつけ方です。
変化、あるいは落差と言ってもいい。

これらを上手くできていないツンデレは読者にとって、『攻撃的』あるいは『情緒不安定』な登場人物と映ることになるでしょう。

ですが、この作品は違う。

ヒロインである綾香ちゃんに幼馴染という属性をつけ、上手くかつ簡潔に彼女へツンとデレのバックボーンを備えさせています。

ちなみに私の持論の中に、ツンデレと幼馴染属性は相性がいいという(以下略。

簡単言うと、仲の良い幼馴染みだけど、だからこそ好意はバレたくない。
ここが簡潔かつ上手に彼女の『ツン』の起因となるわけです。


また、この作者様の上手い所はヒロインの『ツン』を笑いに変えているところです。

ツンデレには、相手役に対しての『ツン』が罵倒や嫌悪に繋がり、読者にとっていやなキャラに見えるという弱点がしばしば出てきます。

これらは、例えば『読者が見て納得できる、彼女に嫌われた原因を主人公に作る』をやってしまえばわりと解決できますが、今回の綾香ちゃんは『ツン』のほとんどが笑いに帰結しているのです。

これは単純ですがとても上手な『ツン』の見せ方ですよ皆さま!

罵倒らしい罵倒もなく、ヒロインがツンデレだとわかる行動をとりながら、読者に嫌悪感を与えることがない。むしろ笑いに変えることでヒロインの好感度を上げていく。

これはコメディにおけるツンデレのお手本といっていいでしょう!
コメディだからこそできる見事な落としどころです。


また、相手への信用のなさという『ツン』。
これも笑いどころに変えてらっしゃいます。

途中に出てくる綾香の妄想に登場する「啓介くん」。
綾香の、妄想での彼への信用のなさは良い味を出していますね。
相手に対して信用がないというのも立派なツンです。
本当に信用して… 続きを読む