第20話 女の子2人。

胸がドキドキする。

背中にじんわり汗が滲むのを感じ、2人を見た。


「ごめん、電車が遅延して」


手を揃えて謝る彼女。


「すみませんでした。もう少し時間に余裕を持って行動すれば、間に合いましたね」


謝っているのか分からない彼女。

ヘンテコな感じの2人だった。

それでもドキドキしているのは、気の所為ではない。

2人の所為だ。


「ええよ。ええよ。とりあえず、座りぃや」


慣れている様子のよしきが仕切る。


「えっと、名前はなんだっけ?」

「えええー。普通、忘れるの?」


女の子が反応する。

ヘンテコじゃない方が。


「うそやん。マユとアキだろ?」

「おおーって、当たり前でしょ? なに、その関西風のノリ、付いて行けないよ?」

「まーあまーあ楽しく行こうや? 俺はよしきで、こっちが俺の連れや。アダ名でも付けるか?」


なんで、僕だけアダ名なんだ?

ここは自己紹介ではないのか?

疑問過ぎる。



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イトアカ 橋本一樹 @hasimotoxkazuki

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