千人掌
安良巻祐介
部屋に置いていたサボテンの鉢植えからいつの間にか豆粒のようなお地蔵さまの頭がいくつも生えて、ちょっとした奇景を作っている。離れて見るぶんにはともかくもありがたいような気もするが、近寄ってよく見ればこれはやはり地獄だ。地蔵の顔がみな無表情なのがかえって苦界を感じさせる。なぜこんなことになったのやら、平々凡々たる日々を流し暮らしてきた身にわかるわけもない。ただもう、なるべく鉢植えを見ないですむように、びくびくと家の中を動き回るばかりだった。
千人掌 安良巻祐介 @aramaki88
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます