都合のいい人間と、都合のいい神様

芯平

死神

ドカン!!


衝撃を感じた。何が起きたか分からないが衝撃を感じた。ふわっと空中を舞いながら手に握りしめていたスマホが自分の手を離れて飛んでいくのが見えた。

 中学生の吉郎は自転車に乗りながらスマホに見入っていた。最近買ってもらったスマホに夢中だった。そんな時に何か衝撃を受けたような気がしたら、空中を舞っていた。

 気付いたら地面に倒れていた。不思議と痛みは無く、驚きの方が大きかった。

 「え?どういう事?何があったの?

 あれ?あの倒れてるの俺じゃない??」

 自分が倒れているのを、「上」から見ていた。

 そう、吉郎はスマホに集中しながら自転車に乗っていて、赤信号に気付かずに交差点に進入してしまった。そして車に轢かれたのだ。

 「神様、助けて!!もうスマホを見ながら自転車に乗らないから!神様、助けてよ!!」

 叫んでるうちに、身体に痛みを感じるようになってきた。身体中が痛い。骨折でもしてるのだろうか。痛すぎておかしくなりそうだ。

「痛い!痛いよ!助けてよ!神様!!」また吉郎は叫んだ。

 

 その時、ある声が聞こえた。

「いいよ、助けてやろう。お前の望みを叶えてやるよ。」


 「お願いします!神様!」と吉郎は答えた。そしたら身体中の痛みが無くなり、スッと楽になった。快感すら覚えた。


 次に気付いた時には吉郎は自分の葬式を「上」から見ていた。両親が泣いていた。担任の先生と同級生も泣いていた。愕然とした。

「俺は死んじゃったの?」つぶやいた。

 その吉郎の隣には死神がいた。

「仕方ないだろ。あの時神様でも俺しか空いてなかったんだから。楽にしてあげたんだし、お礼の一言くらい言ってくれてもいいだろ?今時の高校生はお礼も言えないかよ…」と言いながら、死神は吉郎をさらに「上」の世界へ連れて行った。

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都合のいい人間と、都合のいい神様 芯平 @cbgb

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