運命 3


「ご対面だ、これが水ノ一振だ。」

そこには確かに見た目はよくある刀…でも

何か違うのが僕にも分かるくらいの清らかさと禍々しさがダダ漏れだ


丸い形をした部屋はこの国と同じく

白亜の大理石で出来ているはずなのに

やはり鳥肌が止まらない

「凄い…握るのを躊躇ってしまいそうです。」

「俺が初めて出会ったのは父親がまだ水ノ一振を扱ってた頃だ。この剣の力は…正しく水神の如く。」

そう言いながら水ノ一振の鞘を撫でる

「俺はこいつに嫌われたらしいがな。」

自分が抜かないといけなかったこの剣を辛そうに見つめながらそう口にした


「僕も嫌われたら笑えませんね。」

「あぁ、それは国民に失望されるだろうなぁ。」

「でも…。」僕は水ノ一振へ歩み寄る

「僕は好かれないといけない。」

水ノ一振を手に取り鞘から抜こうとした、が

ガチッ

力の限りおもいっきり抜いたのにビクともしなかった

「…っ。」「…抜けないか?」父上が気づいたようで僕に声をかけた

「少し時間をください。」深呼吸をする

そう僕はこの国の為、父上の為……

いや、本当はどうでもいい僕が抜けるか抜けないかだ

そんな事は二の次でいい

「僕に力を寄越せ。」カチッ…スゥ…


眩しすぎるほど綺麗な刀身

周りの大理石がくっきりと写っている

「綺麗だ。」思わず口にしてしまった

「…久しぶりに見たが神々しい。水ノ一振。」

父上も目を奪われている

何故抜けたんだろう…そう思いながらもまた鞘へしまう

「大臣へ報告へ行こう海人。」「はい。」

水ノ一振を拵えて部屋を出る

兵士達がまた厳重に鍵などを付けていた


----

(抜いたあの瞬間…確かに海人の背後に九頭龍が見えた…やはりあの剣、恐ろしすぎる。)


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水の物語 ベルディア @hantoukoukou

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