暁 2

まだどの絵のことを言っているかわからないし、

この人が館の婦人と決まったわけでもないのに、私は思わず答えてしまった。


「…そうかい。」


夫人はそう言うと、不気味な笑いを一つ。


夕暮れの光に消えてしまった。

比喩なんかじゃない。


本当に消えて行ってしまったのだ。


「な、なんだったの…?」


不思議な体験をした私は、走りながら家に帰った。

走っている間、なんだか回りがいつもの道に戻っている気がした。


「た、ただいま!」


「あらあら、今日も走って帰ってきたんですね。」


奥のほうから百合子さんが昨日よりも足早にこちらに駆け寄ってきた。


「あ…いえ、なんだか早く帰りたくなってしまって。」


「あら、そうなんですね。もう夕飯はできていますよ。」


「…はい。」


何時もと変わらない日常。これほど安心できるものはない。


あんなことがあったのなら、なおさらだ。

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魔女の絵画を @Yukinapen

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