第44話 ◆ボロボロのRAG号
◆ボロボロのRAG号
船外に出るハッチを探し出すのに既に5分を使ってしまった。
急いで行動したいところだが、宇宙空間ではキビキビ動くことが出来ない。
船の外壁を伝わって第三倉庫にもっとも近い別のハッチまでようやっと辿り居つくと酸素の残りは、あと2分になっていた。
ハッチを開けて、再び船の中に入る。
通路のすぐ横はレーザー砲の直撃を受けたのだろう、高硬度の合金がグニャグニャに溶けていた。
倉庫にある格納庫の階段を上ると小型脱出艇が運よく一隻残っていた。
小型艇に乗り込めれば、とりあえず酸素の心配は無くなる。
小型艇の近くまで駆け寄ると操縦席に人が乗っているのが見えた。
いったい誰が乗っているのかと思えば、なんと佐々木つぐみだった。
よかった、桃島さん無事だったんですね。
おまえ、こんなところで何をやってるんだ!
桃島さんを待ってたんです。 これが最後の脱出艇ですし、桃島さんは必ずここに来るって思って。
そうか・・ 助かったよ。 佐々木、ありがとう。
はい。
さあ、こんなとこでグズグズしていられない。 脱出するぞ!
エンジン始動!
キュイーーン
ゲート オ-プン
ゲート開きました。
よしっ発進!
・・・
こうして俺たちは、小型艇に乗ってRAG号から離れ、なんとかナショナルスペースエージェンシーの戦艦に回収してもらうことが出来た。
戦艦からRAG号を見れば、何か所から炎が噴き出している。
桃島さん、RAG号が燃えてます・・
スクリーンを見つめていた、佐々木つぐみが涙声になる。
もしシステムが復旧しなければ、自動消火装置が働かずに黒焦げになってしまうだろうな。
そんな・・・
心配するな、なんせ積荷が軍事機密だ。 直ぐにナショナルスペースエージェンシーの消防艇が消火活動を開始するはずだ。
この後、俺の指摘した通り、消防艇がRAG号の消火にあたり1時間ほどで鎮火した。
そして別の鑑定に牽引され、俺らが乗った戦艦と一緒に一路地球へと向かった。
・・・
・・
・
地球に着くと俺たちは大勢の報道陣に囲まれた。
なんでも俺たちとRAG号は、宇宙海賊に大ダメージを与えたことと、地球防衛にかかわる軍事機密を守り抜いたことが評価されたのだそうだ。
もし、あの軍事機密が海賊たちの手に渡っていたら、太陽系内の宇宙空間の大半は海賊側のものになっていたかも知れないのだ。
出迎えの群衆の中には屑山課長も居て、俺たちがインタビューを受けているときに横から割り込もうとしたところを警備員に取り押さえられ、こっちに向かって何か喚いていたが聞こえないふりをした。
報酬の額によっては会社を辞めるつもりだし、あいつの所為で俺がどれだけ死ぬ思いをしたことか。
そして、RAG号はというと一躍有名になったことで完璧に修理されて、まだしばらくは現役の貨物船として使われることになった。
しかしながらAIのあかねは、最善の手を尽くしたがシステム復旧できず、最新のAIシステムに入れ替えられるという。
ちょっといかれたAIだったけど、あかねが居なかったら今回の業務が成功したかは分からない。
そして俺はと言うと佐々木つぐみと結婚することになった。
恥ずかしい話しだが、帰りの船の中で佐々木を慰めているうちに、ちょめちょめの関係になってしまった。
で、どうやら近いうちにパパになる。
そしてもし、女の子が生まれた時の名前は、もう決めてあるんだ。
そう、その名前は・・・
火星編 FIN
デーモン エクスターミネーション イン ザ ユニバース (Demon extermination in the universe) @a-isi
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