空の下には君がいた
meru.
この景色を見たことはあるかい。
勉強も人間関係も何もかもが嫌になった。高校生活の終わりが少しずつ見え始めてきたころ。就職する人と大学受験をする人が毎日クラスでピリピリしている。はっきり言って居心地が悪い。俺は楽観的だからピリピリしたところで未来は、結果は変わらないと思ってしまう。
休み時間、一緒にバカ騒ぎしてたやつらも気が付くといなくなっていた。肩に力入れすぎだろ。そう思うのは俺だけらしく、教室に俺の居場所はないみたい。誰かに直接言われたわけではないが、なんとなく空気でわかる。そんなこんなでくつろげる場所を探すことになった。図書室、静かすぎて落ち着かない。それに勉強している人たちのたまり場。だめ。体育館、いい感じかも。そう思ったやさき数人の男子が入ってきた。勉強のストレスをバスケで発散してるみたい。いつかこっちに怒り(?)が飛んできそう。ここもだめ。校内を歩いてまわったが、いい場所はなかなかみつからない。そんな中、やっと見つけた場所が屋上。
大きく広がっている空の下。ここにいるときは俺の邪魔をするものなんてない。
本当は立ち入り禁止の場所だから人が来ることもない。やっとできた俺だけの場所。それからは学校へ行くのが少し楽しみになった。毎日1人でたそがれる。弁当食ったり、ゲームしたり、マンガ読んだり。やりたい放題。
新しい発見もあった。屋上からみる景色が綺麗だということ。この学校はほかの建造物と比べると高い方で、視界の邪魔をする建造物は少ない。特に夕方は今まで見た中でも上位に入るんじゃないかというほどの綺麗さで。
1か月経つか経たないかくらいの日、いつも通り1人でくつろいでた。そんなとき開くはずのない扉が音をたてた。寝転がっていた体を無理やり起こし扉のほうに視線を送る。扉から顔を覗かせたのは学校で見かけたことのない男子だった。きいてみると俺と同じ3年だと言う。自分の部屋に不法侵入された気分でいい印象はない。そっけない態度をとるのにこの男子は毎日のように現れる。それだけでなく積極的に話しかけてくるもんだから戸惑う。だけど戸惑ったのは最初だけで数日後にはすっかり仲良くなっていた。前まで以上に屋上へ行くのが楽しみになっている自分がいる。
そんな日から1週間たったころ。いつもいるはずのあいつの姿はなくて、持ち主をなくした内履きだけがぽつんと置いてあった。大きく広がる空の下で。
空の下には君がいた meru. @meru03
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