異世界転生奇譚

@arakaruto

転生したが、どうすればいいのか


やぁやぁ諸君、私の名前は桂木奏太かつらぎそうた。今さっき通り魔に滅多刺しにされ、なんやかんやで転生した冴えないサラリーマンである。

まぁ、転生と言っても


『特典はこっちで決めとくから早く転生しろ』


と一言だけ推定神から言われて、気づいたらここにいただけなのだが。というかここ真っ暗だなぁ…


仕方ないので、恐らく聞こえるであろう耳をすませる事にする。耳も聞こえなかったら?知らん。あ、段々聞こえるように…


「見て下さい!元気な男の子のですよ!」


…………ん?


おっと、あの推定神は何が気に入らなかったのか赤ん坊スタートにしたらしい。唯一の救いは性別は変わっていなかった事か。というか、しがない40過ぎたオッサンに授乳その他諸々の羞恥プレイを強要するとか、あの推定神は業が深すぎると思う。


「男か。ならばいい。適当に育てておけ。」


何か今推定父のとんでもないセリフを聞いた気がするが、きっと気のせいだろう。







きのせいじゃなかった。

ヤバいこれはヤバい。どれくらいヤバいかと言うとオッサンがこんな最近の言葉使うくらいにはヤバい。

まず、母乳が無い。1日に何回かしか入ってこない推定メイドが持ってくるのはクソ不味いミルクっぽい何かだ。まぁいい。いくら母とはいえ乳を見るのはまずいだろうと思っていた所だ。ちなみに飲まないと推定メイドに無言の圧力をかけられる。


次に、部屋もヤバい。何がヤバいって?

ここ、地下牢。

改めて言うとやっぱり意味が分からないが、

光のささない、薄暗くて狭い部屋。そうそれ即ち(多分)地下牢。こ、これも百歩譲っていい(震え声)


だがしかし、寝床。テメーはダメだ。なんだよ。床に布敷いて直に寝かせるって…かてーよ!こっちは赤ちゃんだよ!一歩間違えたら、いや既に虐待だから!


という訳で、この劣悪な環境で生きていく手段を探している途中である。取り敢えず、まず寝床をどうにかせねば…

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