可愛くて面白くて温かくて――この愛しさの、伝え方を求めよ!

とにかく可愛い。笑っちゃうくらいに、泣きたいくらいに可愛い、そんな物語でした。心浮きたつような恋のお話が読みたい皆さんに、全身全霊でオススメです。

エセ優等生なまなかちゃんと、エセ不良な由良くん。目指すのは正反対の方向で、けど根っこはどこか似ている……というか相性ばっちりなお二人の、きゅんきゅんなじれじれが続く距離感。優秀ながらも致命的にぽんこつな個性同士が織りなす、ほのぼのとした賑やかな日々。少しずつ変わっていく、自分の世界。
ラブコメとしてだけでなく、「自分らしさ」を見つめ直す成長物語としても素敵だったと思います。
読み始めてから二週間、ずっと彼らに夢中でした。

そしてこの二人を取り巻く人々もまた、愛しさに溢れていて。
重すぎるくらい姉妹同士で大好きな双子の妹と、その彼氏の男の子(めっちゃ格好いい)。いい子ながらどこか残念な幼馴染。ラブラブな部活の先輩カップル。やきもきなクラスメイトたち。
誰もが、自分たちなりに誰かを大切に想いながら、彼ら二人を面白がったり、見守ったり、背中を押したり。そのつながり一つ一つが、とても優しく温かく感じました。
特に妹のみなちゃんはですね、溢れ出す姉妹愛にうきうきしていたら、終盤で涙腺もっていかれました……

こんな風に、とにかくキャラが可愛いと愛しいに溢れているんですが。それを実現しているのも、作者様の筆致な訳でして……話運び、会話、感情描写、どれをとってもテンポと威力が良すぎです。尋常じゃなく巧いと思います。全く飽きない26万字でした。
とにかくです、読んでください、きっと心ときめく時間になります。